カメラを止めるな!。

最後に日本映画に触れたのは今年の初め、『男はつらいよ50 お帰り寅さん』であった。
その前は樹木希林が死んだ後、一昨年暮れのキネ旬で「樹木希林恐るべし」と銘打った樹木希林出演作を連続上映した時であった。『日日是好日』や『わが母の記』など6作品の連続上映。
邦画も見ている。暫らく日本映画に移る。
一昨年夏から昨年にかけ、その後もあちこちで次々にかかっていたのはこの映画。『カメラを止めるな!』であった。あまりに評判なので見に行った。
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社会現象ともなっていた。ふーんそうなのか、と思っていた。
<この映画は二度はじまる>、という惹句の意味することも、何となく分かっていた。
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『カメラを止めるな!』、監督:上田慎一郎。
それまでまったく知らない名であった。
総予算わずか300万円で作った映画が、昨年末までの興行収入30億円を超えた、ということも聞こえていた。何と、1000倍以上稼いだことになる。凄いどころじゃない。
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冒頭、37分に及ぶ1カット、長回しの場面が現れる。
「ONE CUT OF THE DEAD」。ドタバタのホラー映画を撮っている。役者ばかりでなく、監督もカメラマンもその他の連中も血みどろになりながら。ゾンビも出てくる。
何じゃこりゃー、って思っていた。
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と、<最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる>、のパートに入る。
それまでの長回しの1カットは、劇中劇であったということが分かる。ここでも皆さん血まみれになっての熱演。ゾンビも出てくる。
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実は、私には、「カメ止め」という言葉が流行語大賞にノミネートされたり、皆さんがワーワーというそれほどの作品か、という思いがあった。
ところが多くの人が、「凄い凄い」、「面白い面白い」の合唱をしている。
内外の映画祭でも数多くの賞を取っている。
昨年、2019年の第42回日本アカデミー賞では、作品賞、監督賞、脚本賞をあの是枝裕和の『万引き家族』と争っている。結局この主要な賞は是枝裕和に敗れたが、8分門で受賞した。そうか、と思うのみ。
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彼らの3倍前後を生きてきた私、「カメ止め」を理解するには過ぎているのだろう。頭の硬化度合いが。