あなたの名前を呼べるなら。

愛の物語である。男と女の愛の物語。これが一筋縄ではいかないんだ、インドでは。
社会格差、身分の問題、カーストの問題があるんだ、今でも。
もちろんインドでは憲法によってカースト制は廃止されている。しかし、現実には今も生きている。
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インドの大都市、ムンバイだ。
19歳のラトナは、夫を亡くした未亡人。農村から出てきて、上流階級の豪華マンションで住みこみのメイドとして働いている。雇い主は建設会社の御曹司・アシュヴィン。アメリカにいたのだが、父親に呼び戻された。同じ階層の女との結婚もとなっていたのだが、相手の女の浮気がばれてそれはおじゃんとなっている。大都市、ムンバイらしい。
部屋数が多いとはいえ、若い女と若い男がただ二人で住んでいる。それでどうこうならないのか、というのは外国人の感覚。ならないんだ、インドでは。カースト、身分がちがうのだから、お互いそのようなことは考えない、
ラトナはアシュヴィンのことを、「旦那さま」と呼んでいる。あくまでも旦那さまと召使い。
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『あなたの名前を呼べるなら』、監督:ロヘナ・ゲラ。アメリカで学んだムンバイ出身の女流。
カースト制を打ち壊す狼煙が随所で見られる。
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実は、ラトナはファッションデザイナーへの夢を持っている。旦那さまが出かけている時、裁縫教室へ行きたいのだがと願い出る。アシュヴィンは許可する。アシュヴィンも親父から呼び戻されるまでアメリカにいた、ということもあろう。
生地屋や糸屋にいる時のラトナは楽しそう。田舎にいるラトナの妹は、15で学校をやめ結婚するという。これもインドの現実だ。
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カースト、身分違いとは言っても、そこはひとつ屋根の下に住む若い男と若い女、ラトナが尽くせば尽くすほど、アシュヴィンの気持ちが揺れて行く。それを知った周りの親戚や友人連中、「お前は何を考えてるんだ。やめとけ」、とことごとく言う。「あんな地べたに座って飯を食うような女は」、と。
そんなことを言われても・・・
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危ないな。いつ何があってもおかしくないな。
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本作の原題は、”Sir”。いってみれば「旦那さま」。
アシュヴィンは自分のことを「旦那さま」ではなく、アシュヴィンという名前で呼んでくれ、と言っているのだが。ラトナもそう呼びたいのだが、呼べない。「旦那さま」としか。
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終わり近く、ラトナがマンションの屋上からムンバイの街を見ている。
そこへアメリカへ行くアシュヴィンから電話が入る。ラトナは初めて「アシュヴィン」と応える。
この後どうなるのかは分からない。おそらくこのカースト違いの恋物語、ハッピーエンドとはならないのでは。
インドには何度も行ったが、インドのカーストの現実、日本人にとっては驚くほど強固であった。
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それはともあれ、ラトナのサリー姿、美しかった。


安倍後継、昨日今日の共同通信の世論調査では、石破茂34%、菅義偉14.3%、河野太郎13.6%、小泉進次郎10.1%、岸田文雄7.5%、だそうだ。
石破茂が圧倒的に支持されている。
が、昨夜、菅義偉は二階俊博と秘かに会っていたそうだ。自民党の総裁選び、党員投票を省略し両院議員総会で、となった模様。明らかな石破茂外しである。
これで勝負はついた。菅義偉総裁、菅義偉首相となるのであろう。
「まったく考えていない」と言っていた菅義偉、何と言って表に出てくるのであろう。「安倍政治の継続」であろうが、一国のトップは処理能力だけでは務まらない。ビジョン、さらに哲学が欠かせない。メルケルと対峙できる哲学を持ちあわせているか。はなはだ疑問、心許ない。

菅義偉に如何なる哲学があるのか、