「続けてきてよかった」、と照ノ富士。

ホントによかった。
以前から記しているように私は御嶽海のフアンであるが、今日ばかりは「御嶽海、今日は照ノ富士に勝たせてやれ」、と思っていた。ンッ、こんなこと書くとまずいかな。昔の片八百長を思い起こさせて。
現実は、そんな余計なことなど何も必要としなかった。
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今日、大相撲7月場所千秋楽。出を待つ照ノ富士。
14日目まで照ノ富士が2敗。朝乃山、正代、御嶽海の3人が3敗。照ノ富士が今日の一番に勝つと優勝が決まるが、負けると優勝決定の巴戦となる。
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十両で相星6人による優勝決定戦もあったのであるが、幕内の巴戦を想定しての進行だろうか、早々に「これより三役」となる。
東方、左に大栄翔、扇の要に正代、そして右に照ノ富士。
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西方、左に朝乃山、扇をひっくり返した要に妙義龍、そして右に御嶽海。
横綱不在、大関もひとりといった三役揃い踏み、少し軽いと言えば軽い。
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膝に爆弾を抱える照ノ富士、この本割一番で決めたい。巴戦となる優勝決定戦には持ちこみたくない。
私は、御嶽海の出足に持っていかれる可能性が大では、と思っていた。7分3分で御嶽海有利だろう、と。
なにしろこの両者、照ノ富士が大関を陥落して以来、3年近く本場所での対戦がない。いかに今場所の照ノ富士の勢いでも、と。
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このようにガタイの大きな力士の対決は絵になるな。
時間いっぱい、立行司・式守伊之助の軍配が返る。
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照ノ富士、左上手を取り、右上手も。外四つで御嶽海を一気に寄り切った。
外四つの両まわしをグッと引きつけ、一気に突っ走ったと言っていい会心の相撲であった。
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照ノ富士、5年ぶり、30場所ぶりの優勝である。
前回の優勝は関脇の頃、その翌場所23歳で大関となり、すぐにでも横綱になるのでは、と言われていた。
照ノ富士本人もこう言っている。
「イケイケの時代だった」と。また、腕一本でも勝てるなんてことを思ったことがあるそうだ。ともかくイケイケドンドン、相撲が荒かった。
その頃だったと思うが北の富士さんが、「あんな相撲ではその内に怪我するぞ」、と語っていたが、そうなった。内臓疾患も重なり休場休場で序二段まで落ちた。
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去年の春場所では序二段48枚目まで。
今日、正面解説の北の富士さんは、「たいしたものだな。序二段って言えば下から二番目なんだからな」、と言っていたが、たしかにそう。よくぞである。だから、今場所は照ノ富士に優勝させてやりたかった。今まで照ノ富士フアンってことじゃなかったんだが。
テレビ桟敷の前で連日NHKの中継を見ていた、好角家というワケではない多くの相撲フアンの皆さんはそうではなかったであろうか。
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理事長・八角から賜杯を受ける。
賜杯の後ろに見えているのは、相撲協会審判部部長の伊勢ヶ濱。照ノ富士の師匠でもある。照ノ富士が優勝を決めた後、眼鏡の下の左右の目に何度か指を当てていた。
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照ノ富士、審判部部長であり、師匠でもある伊勢ヶ濱から優勝旗を受ける。
なお、内閣総理大臣杯は安倍晋三の代理で八角が渡していた。このようなことは初めて見た。
安倍晋三、臨時国会も開かず時間をやり過ごそうとしているが、日本相撲協会もスルーしようとしている。西村康稔あたりを代理で出してもよかろうに。東京でやっているんだから。
ところで、照ノ富士は語っている。
「正直に言うと、大関から落ちた後は相撲をやめたかった」、と。大関どころかどんどん下へ落ち、何度もやめたいと思ったそうだ。が、親方に励まされやってきた、と。
何日か前、北の富士さんは、「あの親方はねちっこいからな」、と言っていたが、今日は、「あの親方は大した親方だ」、と語っていた。伊勢ヶ濱親方、諦めないんだ。
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今場所の上位の星取。
朝乃山が準優勝となった。まさかとは思うが、準優勝だから来場所は勝星によっては綱取りの場所、なんてことにはなるまいな。相撲協会、隙あらばってとこがあるから、よく見張っておかなきゃ。
4人の関脇、小結がすべて勝ちこした。御嶽海、正代、大栄翔の3人はそろって11勝を挙げた。次の大関取りのとっかかりを掴んだ。
いずれにしろ大相撲、世代交代の時期となってきている。相変わらず、白鵬に対する風当たりは強いし。日本文化を振り回し。このこと、私はヘイトの一形態だと思っている。
なお、今場所は星が挙がらなかった力士もいるが、若い力が出てきている。
琴勝峰、若隆景、霧馬山、隆の勝、これらの力士、今後一年、伸びてくるであろう。
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照ノ富士、こうも語っていた。
「プライドを捨てて相撲を取れるのか、とも思ったが、笑える日が来ると信じて」、と。
そして、こう語る。
「続けてきてよかった」、と。
ホントにそうだ。日本中が新型コロナを忘れて照ノ富士に酔いしれた。