オリエント急行殺人事件。

オリエント急行、イスタンブールからパリ、ロンドンへ走っていた。イスタンブールはオリエント。
西側ヨーロッパの世界から見れば、イスタンブールはやはりオリエント。極東に住む私たちから言えば、イスタンブールは東西の交差点である、というのが妥当なところ。ボスポラス海峡を挟み東は東洋、西は西洋の入口と言える。が、大きなモスクやミナレットが立ち並んでいるので、西側から言えばやはりオリエントか。
オリエントからヨーロッパの心臓部へ向けて走るオリエント急行、夢いっぱいの列車であったであろう。ましてや、その道中で殺人事件が起こるとなれば、その魅力は弥増す。
エルキュール・ポアロの出番である。

エルサレムでの仕事を終えたエルキュール・ポアロ、イスタンブールからオリエント急行で、次の仕事の依頼先ロンドンへ向かう。
途中雪崩で列車が脱線、乗客は列車に閉じこめられる。そのさなか殺人事件が発生する。はたして犯人は？ポアロでなければ、この謎解きはできない。
往年のオリエント急行は、今はない。２、３年前のドキュメンタリーで、林望が乗っている番組があったが、あれは昔からのオリエント急行だったのかどうか訝っている。
ついでに些末なことを言えば、このポスターの中央に、＜その日、一等車両は・・・＞と記されているが、この記述も訝っている。そもそもオリエント急行のような豪華寝台列車に「二等車両」なんてものがあったのか。「二等」なんてありえないよ。

『オリエント急行殺人事件』、監督：ケネス・ブラナー。
ケネス・ブラナー、自ら主役のエルキュール・ポアロ役をも演じている。
ジョニー・デップ、ジュディ・デンチ、ペネロペ・クルス、ミッシェル・ファイファー、デイジー・リドリー、・・・、ビッグメームが出演している。
半月ほど前の日中、民放でシドニー・ルメットが１９７４年に撮った『オリエント急行殺人事件』を放映していた。民放の映画は途中でＣＭが入るのでほとんど見ないが、その日は見ていた。４５年前のシドニー・ルメットの『オリエント急行殺人事件』を。いやー、出てくる役者が凄い。
ポアロには、アルバート・フィニー。加えるにリチャード・ウィドマーク、ローレン・バコール、イングリッド・バーグマン、ショーン・コネリー、アンソニー・パーキンス、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、ジョン・ギルグッド、・・・。主役を張る役者ばかり、バイプレイヤーがいない。
アカデミー賞に多くの分野でノミネートされていたが、イングリッド・バーグマンが助演女優賞を取った。

その日、雪に閉じこめられたオリエント急行一等車に乗り合わせた乗客。国籍も仕事もまちまちな人たち。
右端の男が殺されたアメリカ人の実業家。という触れこみであるが、昔、人を殺めた男・ラチェット。４５年前にはリチャード・ウィドマークが扮していたが、今回はジョニー・デップ。

オリエント急行車中の人となるジョニー・デップ。

ケネス・ブラナーのエルキュール・ポアロ。
従前のポアロに比べ、ヒゲの形を変えている。少ししつこいか。

このような映画、出てくる役者の軽重で作品の重みが変わってくる。
ジュディ・デンチだ。ロシアの公爵夫人に扮している。
この存在感、文句あるかってたたずまい。

デイジー・リドリー。

ペネロペ・クルス。
ペネロペ・クルス、大分くたびれてるな。宣教師役なんだが、スペイン女らしい張りがない。ケネス・ブラナー、何とかしろ。
ところで、ジョニー・デップが扮するアメリカ人を殺した犯人は誰か。一等車両に乗り合わせた乗客すべてにアリバイがある。が、エルキュール・ポアロ、犯人を突きとめる。時間のトリックを使って。
何と、その日、オリエント急行一等車両に乗り合わせた１２人すべての人が犯人であった。Ⅰ２人、すべての人がジョニデ扮するアメリカ人を刺していた。
ウーン。