ノー・エスケープ 自由への国境。

ボーとしていると、何ごとにつけ忘れることが出てくる。昨日もそうであった。遅く帰ってきて、ボーとした頭でキーを打っていた。
実は、暫らく前、ラジ・リの問題作『レ・ミゼラブル』を観た。今現在のフランスの胸を締めつけられる人種問題。やりきれない。その重苦しさを中和するため、昨日はフィリップ・ドゥ・ショーヴロンの『最高の花婿 アンコール』を観に行った。
4人いる娘が皆外国人と結婚したフランス人老夫婦の話。長女はアラブ人、次女はユダヤ人、3女は中国人、4女はコートジボワール人と結婚しているが、新たな問題が持ちあがる。それぞれの人種間でトゲのある台詞も飛び交うが、フランスは懐が深いところもある。『レ・ミゼラブル』のギスギスした心を中和してくれた。
それはそれでいいが、遅く帰ってきてボーとした頭でキーを打っていたが、肝心なことを忘れてしまった。
マフィアのヒットマンであったフランク・シーラン、オレがIBT(全米トラック運転手組合)委員長のジミー・ホッファを殺したと言っているのであるが、何時、シーランはホッファを撃ったのかを記すことを忘れてしまった。
実はジミー・ホッファ、1975年に失踪する。アメリカ政界にも大きな影響力を持っていたジミー・ホッファ、マフィアとの繋がりも数知れず。多くのマフィアがホッファ殺害の嫌疑をかけられた。フランク・シーランもその一人。
しかし、真実は解らず、1982年、ジミー・ホッファの死亡宣言が出された。アメリカだ。
また、フランク・シーランは、その後別件でⅠ3年間服役するが、2003年に83歳で没する。アメリカの現実である。
これらのこと、昨日記すのをコロッと忘れてしまった。



「メキシコ国境の安全を確保するべく、物理的な壁をただちに建設、充分な人員による監視を行い、不法移民、違法薬物、人身の売買、テロ行為を未然に防ぐ」。2017年1月25日、第45代アメリカ合衆国大統領に就任したドナルド・トランプ、このような大統領令を出す。
アメリカとメキシコの国境3152キロに壁を造ると言う。壁の建設、やってはいるが未だそうは捗ってはいないようだ。
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この作品、日本では3年前の2017年に公開されたが、制作年は2015年。トランプが表舞台に現れる前である。
メキシコから多くの人がアメリカへ流れてくる。ブローカーに金を払って。さまざまな事情がある。
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『ノー・エスケープ 自由への国境』、監督:ホナス・キュアロン。アルフォンソ・キュアロンの息子である。極限状態の生死を描く。
国境地帯、灼熱の砂漠である。ブローカーに率いられたⅠ4人の越境者、車のトラブルにより歩いて国境を目指す。
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国境を越える。
国境の北、アメリカ側には越境者を殺そうという男が待ちかまえている。ライフルを持って。獰猛な犬を連れて。
自警団のようなものもあるが、一匹狼のような男もいる。サムという男、そのような男である。
メキシコからアメリカへ越境してきた人たちをライフルで撃ち殺す。「自由な国へようこそ」と口ずさみながら。
ブローカーに率いられたⅠ4人もサムに狙われる。次々にサムのライフルの標的となっていく。
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最後は、主人公のモイセスとあと一人となる。
モイセスに扮するのは、ガエル・ガルシア・ベルナル。存在感のある顔貌だ。
ガエル・ガルシア・ベルナル、ウォルター・サレスの『モーターサイクル・ダイアリー』で若き日のチェ・ゲバラを演じた。バイクで南米各地を旅していた。
アレハンドロ・イニャリトゥ『バベル』でも、ブラッド・ピットや菊地凛子と組んでいた。
見ものである。が、眠い。
今日というか明日というか、眠りたい。