アイリッシュマン。

アメリカの労働組合のことを聞かなくなって久しい。特に今、ラストベルトの労働者たちは、トランプにしがみついている。下層と言える白人労働者が、金がすべてのトランプに。トランプが雇用を守ってくれる、トランプこそが雇用を創出してくれる、と。
労働組合なんて話は、何処ぞへ行ってしまったかのよう。
労組の影が薄いのは、日本もそうだし世界中あちこちそうである。しかし、かってのアメリカは労組、労働者の組合の力は強かった。存在感があった。
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IBT(全米トラック運転手組合)のことは1960年代前後には度々ニュースに出てきた。記憶が不確かであるが、その委員長、ジミー・ホッファの名も流れていた気がする。
トラックに限らず運転手の世界は厳しい。運転手ばかりじゃなく建設業、港湾荷役業、その他厳しい業界の労働者組織は、裏社会と繋がっていく。IBT(全米トラック運転手組合)委員長のジミー・ホッファもマフィアと繋がり、お互いの権益を守っている。
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『アイリッシュマン』、監督:マーティン・スコセッシ。
原作:チャールズ・ブラントの”I Heard You Paint Houses”。
「オレがジミー・ホッファを殺した」と語る男、元マフィアのヒットマンであるフランク・シーランの話から始まる。
マーティン・スコセッシによるマフィアの話である。
そこにロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシとくる。凄まじい物語となること間違いなしである。
断らなければいけない。この物語、実録である。
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老人ホームに入っている元マフィアのヒットマンであるフランク・シーラン、「オレが全米トラック運転手組合委員長のジミー・ホッファを殺した」と語る。
フランク・シーランに扮するのは、ロバート・デ・ニーロ。ジミー・ホッファに扮するのは、アル・パチーノ。シーランをホッファに繋ぐマフィアにジョー・ペシ。
1961年、JFK、ジョン・F・ケネディが大統領となる。JFKの弟、ロバート・ケネディが司法長官となり、ジミー・ホッファを追いつめていく。ジミー・ホッファ、ニクソンに肩入れしていた。
が、JFKに続いて弟のロバート・ケネディも暗殺される。アメリカの現実である。
で、「オレが全米トラック運転手組合委員長のジミー・ホッファを殺した」と語るマフィアの元ヒットマン、フランク・シーランの画像が流れる。
こんな文言など不要。スコセッシの快作。
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今年初めキネ旬へ行くと、このようなものがかかっていた。
マーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、追加上映されるはず。