どうするか、これから。あなたが決めればいいんです、と医者は言う。

3月上旬、人間ドックを受けた。その後の緊急事態宣言、外出自粛で、医者からの説明は延び延びとなっていたが、今日説明を受けた。
その間、いついつどうですか、と病院から電話があったことに、病院へ行くことが嫌なので私が断ったり、レギュラーの医者がモニターに画像やデータを引きだして話してくれたことがあったが、ドックの医者からの説明は今日が初めて。
肺は、今までの既往症からみてこの程度はしかたない。その他もまあ頑張っていると思う。腫瘍マーカーも前立腺その他問題はない。最も問題があるのは、頭部MRIの所見、軽度であるがラクナ梗塞。脳梗塞の恐れがある。問診表から見ると、その主な原因は酒量にある。酒を減らすことが必要である。今日の医者はそう話す。
元々酒が強い方ではなかったが、この1~2年、家では際限なく飲むようになった。スーパーで買う安い一升の焼酎を4日、時には3日で飲む。自分でもこれはまずいな、と思っているがそれが続く。
「酒をやめろとは言いません。しかし、減らすことが必要です。休肝日も」、と医者は話す。「これはあなたの問題です。あなたがこれからどう生きたいか、あなたが決めればいいんです」、とも。「オレは酒を好きなだけ飲みたいんだ、ということなれば、それも選択肢のひとつです。あなたがご自身で決めることです」、と医者は続ける。
私が決めろ、と言われてどうするか。
孫娘は小学校へ行っているが、孫坊主がピカピカの一年生になるまではまだ2~3年ある。10年近く行っていないヨーロッパにもあと一度行きたい。
医者は、「あなたが決めろ」、と言う。
あと2~3年といわず、あと1~2年は生きたいな、と思う。
そう思いながら、焼酎のお湯割りを飲んでいるのが問題であるが。
こんなことで、あと1~2年大丈夫なのか。私自身分からない。


久しぶりに外へ出たので、病院の後、昨日から開いている映画へ行った。
時折り、テレビで流される映画を見る。1~2週間前、チャン・ワン監督の『タクシー運転手 約束は海を越えて』を見た。1980年の光州事件を扱ったもの。金大中が逮捕された、金泳三が軟禁された、光州が都市封鎖された、その物語。
『パラサイト』のソン・ガンホが、40年近く前のタクシー運転手として・・・、という物語である。面白かった。
が、映画はやはり映画館で見るに限る。
昨日から開いている柏のキネ旬で、エリック・バルビェの『母との約束、 250通の手紙』を見る。
ゴンクール賞を唯一2度受賞した作家ロマン・ガリの自伝小説の映画化作品。ひとり息子を溺愛する母には、シャルロット・ゲンズブール。溺愛する息子にこう語る。
「男が闘うべき理由は3つだけ。女、名誉、そしてフランス」、と。
渋い作品である。が、とても面白い映画である。
終映後、周りを見た。なんと観客は私を含め3人だった。
ンー。


その後、腹が減ったので高島屋のレストラン街、以前時折り行っていた牛タン屋へ行く。
店の内装、変わっていた。
以前はガラスを隔てて牛タンを焼く様子が見える席があったのだが、それがなくなっている。店内、すべて背中の高いボックス席となっていた。
しかし、客は少ない。改装のコストも相当かかったろうに。
久しぶりの牛タンや麦飯、テールスープ、とろろも美味かった。麦飯は残したが、他は気合を入れて食った。


それはそうと、私のこれから、私が決めなければならない。
あと1~2年。どうしようか。
孫坊主がピカピカの一年生になるまでは、と思うが少し欲張りすぎかとも思う。
「これからのあなたの人生、どうしたいのか、あなたが決めればいいんです」、と医者は言う。
孫坊主のことを思いながらも焼酎を飲んでいる私、どうなるのか。
来年とはいわず、来月、来週死んじゃってもおかしくはない。