グレイテスト・ショーマン。

十八代目中村勘三郎は、6、7年前、まだ50代の若さで惜しまれて死んだ。洒脱な面もあり豪快な面もあり、愛された役者であった。その勘三郎だったと思うが、「所詮我々は、河原乞食の・・・」、と言っていたような気がする。
歌舞伎の大名跡である勘三郎であるからこそ言える言葉であるが、歌舞伎であろうと何であろうと、ショービジネスと社会的な階層というか階級というものを言い得ている。
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19世紀アメリカに、P.T.バーナムという興行師がいた。実在した男・バーナムの半生記。
貧しい生まれのバーナム、裕福な家の娘と結婚する。必ずいい生活をさせるようにする、と。
バーナム、ショービジネスを始める。
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『グレイテスト・ショーマン』、監督:マイケル・グレイシーのミュージカル。
であるが、売りは・・・
8年前、トム・フーバーの『レ・ミゼラブル』で、卓越した歌唱力を披露したヒュー・ジャックマンが、主役のバーナムに扮すること。さらに、作曲を『ラ・ラ・ランド』のペンジ・バセックとジャスティン・ポールのコンビが担当すること。
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バーナムのショーは大盛況。
バーナムのショー、サーカスのようでもあり、見せ物のようでもある。
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小人とか、逆に巨人とか、通常の人間とはかけ離れているような人を集める。今の言葉で言えばマイノリティー。
だから、上品な連中からは叩かれる。
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マイノリティー、現在のLGBTもそうであろうが、独自・オンリーワンということである。
バーナムのショーには、多くのオンリーワンの人たちが加わる。彼らもバーナムのショーの中で喜びを見出していく。
バーナムは、若い演出家のフィリップを興行収入の10%という条件でパートナーとする。
この若いフィリップ、バーナムのショーの若い黒人の女の子にピピッとくる。20世紀の話ではない。19世紀アメリカの話である。白人と黒人の恋、厳しいものがある。そういうサイドストーリーもあるが。
このフィリップ、興収の10%を要求するだけあってなかなかのヤリ手。バーナムを大英帝国のヴィクトリア女王との謁見の場へ導く。
その場で、バーナムはヨーロッパ随一のオペラ歌手・ジェニーと会う。
オペラ歌手、クラシックの世界は、上流、上層の世界である。サーカス、見せ物の世界とは異なる。バーナム、ショーの方はフィリップに任せ、自らはジェニーのニューヨーク公演、さらには全米公演に賭ける。
しかし、負債はかさむ。ジェニーからは、家族も含めすべて捨て私と、という言葉が出る。
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何のかのあるが、最後は平穏に落ちつく。先述の若いフィリップと若い黒人の女の子の恋もハッピーエンドに。
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ショービジネスの世界と社会的階層ということを考える。
オンリーワン、マイノリティーのことも。
”The Greatest Show”、”THIS IS ME”、圧倒的なパワーで迫ってくる。