オホーツクふらふら行(19) 枝幸へ。

雄武で北紋バスから宗谷バスへ乗り換える。待ち時間は25分ばかり。
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枝幸への宗谷バスの雄武バス停。
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雄武バスターミナルに停まるこのバスで枝幸へ。
発車時間となっても乗ってくる人はひとりもいなかった。雄武町、人口4000人強。都会地の人から見れば少ないが、オホーツク沿岸では有数の町なんだが。
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枝幸への宗谷バス、私ひとりを乗せて走る。
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オホーツク海、流氷が見える。
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オホーツクを独り占め。
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バスの窓を通してであるので、映りこみがあるが。
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小さな集落があった。3階立ての建物があった。
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誰もいないオホーツク。
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海沿いに建物があった。水産物の加工場であるかもしれない。
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枝幸に着くまで誰ひとり乗ってこなかった。雄武から枝幸まで約1時間10分。バス代2000円ばかりの私ひとりを乗せてバスは走った。バスを1時間以上走らせ、わずか2000円の対価で成り立つワケはない。
オホーツク沿岸、鉄道がなくなり、代替のバスも乗る人は少ない。沿岸の住民が少なくなっているのだ。
遠くない将来、オホーツク沿岸の公的交通機関は、バス1日1便となるであろう。


枝幸へ来た。
少し横道へ逸れる。
1980年代前半に「オホーツク海縦貫線」構想があったが潰えた、ということは既に記した。
が、網走から稚内、いや釧路から網走を通り稚内までの500キロ余の「オホーツク本線」ができ、1日1便ではあるがSL特急が走った、という小説がある。特急サロマが走った、との。
早稲田にはもちろんどこの大学にもある学部はあるが、出身はどこかと訊かれれば、何々研とか何々部と答えることが多い。探検部出身の西木正明は北方指向も強く、幾つものオホーツク物を書いている。『オホーツク特急』(昭和60年 青樹社刊)もそのひとつ。
枝幸の近くの町の物語である。
同書からその挿画の地図を複写する。
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オホーツク本線の枝幸の近く。実在の町に似せた架空の町。線路敷設工事の男の物語。
線路ができれば工夫は次の敷設現場へ移動する。が、この物語の主人公の男は移動しない。その町で便利屋となる。美人と言うわけではないが、どことなく男をそそるドライブインの女将がいるということもある。
しかし、その女将にはパトロンの男がいる。オホーツク本線を造るにあたって「オホーツク本線建設促進運動」の旗振りをした男である。が、実直な便利屋の男と違って、この男はワル。実直な男に2億円の生命保険をかけ、殺そうとする。
こんなことを記していても、どうでもないな。先を急ごう。
最後に、ワルな男は実直な男に殺される。実直な男はワルな男の女であったドライブインの女将と逃げる。オホーツク特急に乗って。
枝幸近辺のそういうお話である。