イメージの本。

1932年生まれのフランソワ・トリュフォーは、1984年、52歳で死んだ。やはり1932年生まれのルイ・マルは、1995年、63歳で死んだ。ヌーヴェル・ヴァーグの旗手と言われた映像作家、その多くは退場した。しかし、その中でただ一人、1930年生まれのジャン=リュック・ゴダールだけは頑張っている、(どころじゃない)戦っている。
ゴダールとの出会いは60年近く前。『勝手にしやがれ』であった。1959年、ゴダール28歳の作である。日本での公開はその1、2年後じゃなかったか。原案がフランソワ・トリュフォーというのも面白い。60年前のゴダールとトリュフォー、連んでいたんだ。
得も言えぬ顔つきのジャン=ポール・ベルモンドを知ったのもこの時じゃなかったか。ベルモンドは26歳であった。女はジーン・セバーグであった。当時20歳のジーン・セバーグ、フランソワーズ・サガンの『悲しみよこんにちは』以来のショートカットでカッコいいったらなかった。パリの街中で「ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン」って声を出し新聞を売っていた場面、まだ眼裏に残っている。
それから暫らく経って後、パリへ行くようになった私、そのつど、ヘラルド・トリビューンを買っていた。フランス語の新聞が読めないからであったが、ヘラルド・トリビューンを。「ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン」でなく「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」となっていたが。
次いでやはりベルモンドを使った『気狂いピエロ』。ヌーヴェル・ヴァーグの時代であった。
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そのジャン=リュック・ゴダール、未だ戦っている。
今の世界に対して怒っているんだ。トランプ的世界に対し。ゴダールのこの作品、ゴダール、87歳の時の作。
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『イメージの本』、絵画、映画、テクスト(文章)、音楽が紡がれている。
ゴダール自身、「私たちに未来を語るのはアーカイヴである」と語っている。
さまざまなアーカイヴがあろう。それらを紡ぐ。
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いってみればコラボである。さまざまなイメージがコラボする。コラージュである。
ジャン=リュック・ゴダールによる巨大なコラージュ。ゴダール、新しいものを創ろうとしている。音声もゴダール自身。
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ゴダールの信念、いや執念と思い至る。
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この作品『イメージの本』、第71回カンヌ国際映画祭でスペシャル・パルムドールを受賞している。第71回のカンヌ国際映画祭、2018年である。是枝裕和の『万引き家族』がパルムドールを取った年である。
”ゴダール監督、90近くなってもあなたは凄い。その映像表現、他者を寄せつけない。故にパルムドールを越えるスペシャル・パルムドールを贈りたいと思います”、となったのであろう。
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この作品、昨年夏前、シネスイッチ銀座で公開された。
シネスイッチ銀座、客席へ下りる階段の横に小さなディスプレイスペースがある。いつも工夫されている。
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『イメージの本』のディスプレイ。
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こう。
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こう。
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こう。
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『イメージの本』、映画を超越したアートとなった。


今日、中国、新型コロナウイルスのため3月5日開催予定の全人代の延期を決めた。極めて異例。新型コロナウイルスへの対応に注力するということだろう。
マレーシアのマハティールは、引退を表明した。マハティール、卓越した男であるが、94歳。引退した方がいい。
アメリカ民主党のネバダ州での党大会、またもバーニー・サンダースが勝った。サンダースがこのまま突っ走るのであろうか。サンダース、言うことはまともである。が、アメリカでは左過ぎるし、78歳でもある。民主党は勝てない。トランプは喜んでいるだろう。しゃくではあるが、トランプ政権があと4年続くことであろう。
そのトランプ、今日、インドへ行っている。
10万人収容のクリケット・スタジアムでトランプは、インド首相・モディとハグ、「ナマステ」と語る。トランプとモディ、共に自国ファーストなんだが。やだな。