もう一人のロクイチ組。

豪栄道が引退を表明した。
昨日、過去3番目の高齢での優勝となった徳勝龍は、その年齢を問われ、「まだ33歳」と語っていた。「もう」じゃなく「まだ」、と。徳勝龍特有のリップサービスも含め。この発言は、徳勝龍自身の性格にもよろうが、その立場によるところが大きいと思われる。十両と幕内を行き来している徳勝龍、気楽と言えば気楽なんだ。
その点、大関という地位を5年半にわたって張っていた豪栄道とは異なる。その間、9度のカド番を凌いで。これだけ長く大関を張っていたのに、優勝は一度のみ。平成28年秋場所の優勝。その時もカド番であったが、全勝優勝であった。
徳勝龍は、昨日の優勝後のインタビューで全国の相撲好きの心を掴んだ。今日も、「自分が優勝できるなんて思ってもいなかった」と語っている。正直だ。だから、奈良県人ばかりでなく全国の相撲ファンはにわか徳勝龍ファンとなった。この相撲取り、憎めない男だな、と。
今日、豪栄道はこう語っている。
「精も根も尽き果てた」、と。そうであったことだろう、とよく解る。横綱に次ぐ大関の地位を保つため、気を抜くことはなかったであろう。いつもムスッとした顔をしていたが、それも心の内が外へ出た故であろう。
同じロクイチ組の二人。
稀勢の里と共にロクイチ組の先頭を走った豪栄道と、「オレはオレ」とその後ろの方をついていった徳勝龍、その相撲人生だ。
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昨日、初場所千秋楽、豪栄道は若手23歳の阿武咲に下手投げで敗れた。下手投げというより掛け投げのように背中から土俵に落とされた。
敗け方も良くなかった。豪栄道の力、確実に落ちている。5勝10敗、来場所は関脇へ陥落する。これで引退するかもしれないな、と思った。が、来場所はご当所の大阪場所。そこで最後の復帰戦を、とも考えた。
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敗れた後、土俵下での豪栄道。
虚ろな目である。宙を飛んでいる。
もう充分だ。精も根も尽き果てた、とも考えていたのかもしれない。
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一瞬、審判長を務める豪栄道の師匠・境川の姿が流れた。
境川の顔、どこか緩やかな表情になっているように感じた。「豪栄道、お前、よく頑張ってきた。これでもういいだろう」、と言っているようにも見受けられる。
今日の朝刊に、千秋楽結びの一番で幕尻の徳勝龍に敗れた大関・貴景勝に、徳勝龍についてのことを訊いた応えが載っている。
貴景勝、こう語っている。
「強いから優勝したのでしょう」、と。何ともそっけない応えである。
貴景勝、天下の大関とはいえまだ23歳の若造である。心がない。徳勝龍のホワッとした心が23歳の若造には感じられない。
昨日、自らは敗れ引退のことごとに思いを巡らしていた豪栄道、こう語っていると報じられた。
「徳勝龍が優勝して良かった」、と。
豪栄道、ロクイチ組の後ろの方についてきた徳勝龍優勝のことを喜んでいる。
33歳、心のゆとりができるんだ。徳勝龍にしろ豪栄道にしろ。
まだこれからもという男にも、もう充分にやったという男にも。


中国、武漢で発生の新型コロナウイルスによる肺炎、拡大している。
最新情報では、感染者2800人、死者81人。武漢市は封鎖されている。1100万人の大都市が。陸路も空路も。
今日のマーケット、東証ばかりでなく世界中のマーケットで大幅に下げている。武漢での新型肺炎の拡大懸念である。
武漢には日本人が560人いるらしい。日本政府は明日朝チャーター機を飛ばし、希望者を帰国させる予定だという。空港までのアクセスなど、中国側とまだ協議している模様だが。
今日、武漢には李克強が入った。中国政府、気合を入れて取り組んでいるという姿勢を見せている。
早い時期に押さえこまなければ、一帯一路なんてことを言っている場合じゃない。中国の威信、落ちこむぞ。