新聞記者。

とても面白い映画である。
6月末に封切られた。小規模封切りである。もちろんと言うか、当然と言うか。
ドッカーンと封切られたこれぞエンタメの王道という『アラジン』と同じに封切られた。上映館の数はまるで違う。当然のこと、興収は異なる。が、『新聞記者』、頑張っている。官邸とメディアのドラマという物語で。
7月末、観に行った。ウィークデーの昼間であるのに満席であった。公開後2か月以上となる今も続映されている。上映館も増えていっている。社会派エンタテインメントと謳っているが、政治サスペンスでもある。
f:id:ryuuzanshi:20190713161120j:plain
内閣官房vs女性記者、とある。
内閣情報調査室・内調の官僚と女性の新聞記者の正義への思いであり、闘いである。
原案は、東京新聞の現役記者・望月衣塑子の同名の書『新聞記者』。監督は、藤井道人。1986年生まれ、33歳の俊英。主演は、シム・ウンギョンと松坂桃李。
現実の事件が想起される。
はっきり言えば、モリカケのカケ。内閣総理大臣・安倍晋三のお友達のあの人がらみの問題。
f:id:ryuuzanshi:20190801145533j:plain
東都新聞の女性記者・吉岡のもとに、医療系大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届いた。
つい先だってのあの問題、安倍総理のお友達の加計学園の問題だ。
女性記者・吉岡に扮するのは韓国人のシム・ウンギョン。全編、日本語。上手い。初め、日本人にしてはどこかおかしいな、と思っていた日本語の発音、大したもの驚いた。日本人と韓国人のハーフでアメリカ育ちという設定であるので、シム・ウンギョン、英語はより上手い。
東都新聞女性記者の吉岡、現実には東京新聞の女性記者・望月衣塑子、真相究明の取材を始める。
f:id:ryuuzanshi:20190801145600j:plain
その一方で内調・内閣情報調査室の官僚である杉浦(松坂桃李が扮する)は葛藤している。
現政権に不都合なニュースをコントロールすることに。かっての上司は飛び降り自殺する。モリカケ問題の時にも自殺した官僚がいたが。
f:id:ryuuzanshi:20190801145623j:plain
永田町の物語でもある。
f:id:ryuuzanshi:20190801145552j:plain

田原総一朗は、<面白い!!よくぞ作った!>と言っている。
f:id:ryuuzanshi:20190903232817j:plain
確かに、そう。
f:id:ryuuzanshi:20190903232802j:plain
まさに今日の視点。


安部譲二が死んだ。
『塀の中の懲りない面々』はじめ楽しませてくれた。
何日か前には、池内紀が死んだ。
専門のドイツ文学は知らないが、多くの旅物語を楽しませてくれた。