足利CON展(10) 栗田美術館。

「ワッハ上方」という上方の演芸に関する書籍、テープ、映像などを備えた資料館がある。大阪ミナミの繁華街のど真ん中に。
よしもとの牙城・「なんばグランド花月」の前にあるやはり吉本興業のビルの中の7階に。
吉本興業のビルの中にあるが、吉本興業の資料館ではない。大阪府立上方演芸資料館である。大阪府立の資料館である。入場無料で、一日中でも上方のお笑いを楽しむことができる。テープやビデオで。エンタツ・アチャコ、いやそれ以前の戦前のものから。
通常、「地場産業」というものはハードウェアについて使われるが、「お笑い」は、ソフトウェアの大阪の地場産業ということもできるでのじゃなかろうか。大阪以外、公立の「お笑いの資料館」なんてものは聞かない。
2年少し前、その大阪府立上方演芸資料館・「ワッハ上方」へ行った。その時のことは、「流山子雑録」に記した記憶がある。
その吉本興業のビルには大阪府立の「ワッハ上方」ばかりでなく、よしもとの若手芸人のための「よしもと漫才劇場」があり、「なんばグランド花月」の半分ほどの入場料でお笑いを見せている。
しかし、驚いたのは、そこにあった「NSC YCC(吉本総合芸能学院 よしもとクリエイティブ・カレッジ)」と記された学校案内のパンフレットであった。「笑いの王道を学ぶ」、と記されている。コース紹介や受講プログラムも。
専門学校の学校案内と同じである。吉本興業、こうして毎年毎年、新しい受講生を集め教育している、ということを知った。すべてではない。が、こうした教育の中から優秀な芸人が生まれていることが分かる。



ここ数日、よしもと騒動といったことが報じられている。
吉本所属芸人の闇営業に始まり、そのウソとか、経営陣のパワハラとか、吉本の社長の考えられない記者会見での発言であるとか、やめるとか、それはやめとけとか、なんやかや。
「ワッハ上方」には関心があったが、普段はお笑い番組を見ていない私、出てくる芸人と言われる人の年収が1億を越えるなんて知り、ただびっくりしていた。
しかし、考えてみればそうとも思われる。
NSC(吉本総合芸能学院)で学び、卒業後も切磋琢磨し生き残ってきた人は能力があるんだ。よく東大や京大を出た人に「地頭がある」なんて言うが、NSCを出て競争に生き残ってきた芸人も「地頭がある」と言える。反社会的行動はバツであるが。
それに対し、そのような芸人を使った営業活動をしている企業側は、どうも「地頭力」で芸人に負けている。後れを取っている。吉本の社長はじめ。
そのように思える。


それはそれとし、足利CON展あと少し残っている。
足利市内ではCON展の会場、半分少ししか周らなかった。久しぶりで栗田美術館へ行こうと思った。
JR足利駅前で昼飯を食い、JRで6分のあしかがフラワーパーク駅へ行く。
駅は無人駅である。駅員はいない。栗田美術館まで0.9キロ、14分、と記されている。私の足では20分ほどとなろう。きつい。駅前、タクシーもいない。コンビニもない。自販機もない。駅にベンチさえない。やめた。足利へ戻ろう、と思った。が、それまで次の電車までには1時間ばかりある。
仕方ない。雨が小降りとなってきたので、歩きだした。普通の人なら14分のところを20分近くかけて。


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栗田美術館正門に着く。
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前方、大手門へのアプローチ。
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世界陶磁館。大きな建物である。
雨模様のこの日、小さな車が1台停まっていた。
[:plai
館内へ入る。
このようなものが。
CON展運営のためのカンパ。100円玉を入れる。
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以下、館内の状景を幾つか。
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ペルーのチャンカイ土器が展示されている場にCON展の作品が・・・
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生命の実存を問う山田葉子の作品。
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これは・・・
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近寄ると・・・
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これ。
手漉き和紙に墨、磐絵具、水干、膠などを用いて描かれている。
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この金属製の輪っかのようなもの・・・
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このようなもの。
一種のモビールなんだ。
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これ、
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近寄ると・・・
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写真を組み合わせたタイル。
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ここにもCON展の幟が出ている。
ギャラリーと呼ばれる建物。
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入る。
幾つものCON展出展作が。
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ここにも。
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旧今井医院にあった小沢智恵子の「いのち」作品も。
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少し先の栗田山荘の前庭には、森村均のモビールが3つもあった。「ただようかたち」。この世の論理から離れ、さまざまに漂っている。
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栗田山荘、趣きのある建物である。
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しかし、閉まっていた。
来る人がいないんだ。だから、開けていられないんだ。