足利CON展(8) 旧クリスマス薬局。
それにしても面白い名前だな、と思った。薬局の名前に「クリスマス」なんて名をつけて、と。
薬を買いに来る人は、何らか具合が悪く悩みを持っているので、ほんわかとしたクリスマス、何よりサンタさんの愛で包んであげよう、ということかなー。
ツタが絡まった旧クリスマス薬局、つい先年まで営業していたそうだ。
入る。
壁にはなにやら丸いものがついている。
丸いものの中に、草のようなものが入っている。
床にも。
こういうものである。
≪Silent Gift(静かな贈り物)≫。作家は、阿部尊美。
作家はいなかった。が、ボランティアの年配の女性がいた。
「この中に入っているのは、薬草ださうです」、という。
作家の阿部尊美、パンフにこう記している。
<空気感、時間をめぐる作品を・・・>、と。
<自然と人工との関係の中で新たな価値を模索し・・・>、とも。
「自然」は薬草だ。そして、「人口」はそれを包んでいるこの丸いものであろう。そこから新たな価値を生みだすことを模索している、ということか。
よくは分からない。
が、美を模索する作家の思いなど、その作家以外の何者にも分かりあえるものではない。
名を知らぬ薬草。
この薬草もいかにもの美。
薬局には、薬の棚や引出しがある。クリスマス薬局にもあった。
この向こう。
その薬の引出しや棚を使った「引出しギャラリー展」が催されていた。
CON展出展作家有志による薬棚の引出しを使った小品展。
この引出しには、羽のついたピンがある。
貝合わせやトランプの神経衰弱のような遊びである。
幾つもの引出しの中から、この引出しを引っぱり出せば「あたりー」である。この状況の説明、難しい。理解されない、と思う。
私は、「あたりー」としたが、それは偶々。
部屋を出る時に気がついた。
部屋の隅に蚊取り線香というか蚊取り器があった。アースの蚊取り器。
足利を感じる。