江戸のアヴァンギャルド。

春先、都美術館での「奇想の系譜展」、「江戸絵画ミラクルワールド」というサブタイトルがついている。「江戸のアヴァンギャルド」とも。
アヴァンギャルド、正統からはみ出た、突き抜けたということであろう。
では江戸の正統とは。まずは探幽、山楽以降の狩野派が聳える。宗達、光琳、抱一と連なる琳派の流れもある。応挙に代表される一派もある。春信、歌麿、写楽、北斎、広重という浮世絵の系譜もある。アヴァンギャルドの皆さん、元はと言えばそのいずれかを突き抜けたんだ。
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上野、都美術館のあのガラス窓。
ボヤーとした写真しか撮ることができないのが、その特徴である。
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で、チラシを複写。
若冲、蕭白、芦雪、・・・、・・・、・・・。
「奇想の系譜」、私は読んではいないが辻惟雄の著作である。辻惟雄、都美術館や東博、そして東大に隠然たる影響力を持っている。が、私は辻惟雄が「奇想の系譜」で取りあげた6人(今回展は辻惟雄の6人に白隠と鈴木其一を加えた8人)の内、若冲以外はさほどビビッとこない。
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館内へ。
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伊藤若冲≪象と鯨図屏風≫。
紙本墨画 六曲一双。若冲、死の3年前、81歳の作である。飛びぬけたる生き物である象と鯨、実にいい。
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私が行ったのは期末であったので見ていないが、期初には三の丸尚蔵館の≪旭日鳳凰図≫が展示された。宝暦5年(1755年)の作。その数年後から描かれる≪動植綵絵≫に繋がる色、形。若冲だ。
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曾我蕭白≪雪山童子図≫。
紙本着色 一幅。
蕭白、若冲とよく対比される。が、どうしてなのだか分からない。蕭白のどこがいいんだ。
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永沢芦雪≪群猿図襖絵≫(部分)。
芦雪、丸山応挙の弟子である。節度が感じられる。
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岩佐又兵衛≪山中常盤物語絵巻 第四巻≫(部分)。
岩佐又兵衛も好きじゃない。
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狩野山雪≪梅花遊禽図襖絵≫。
紙本金地着色。
山雪、狩野派きっての知性派だそうだ。知性派、嫌いじゃない。武闘派も嫌いじゃないが。ま、人によるんだ。で、狩野山雪は? そこまでよくは知らない。
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白隠慧鶴≪半身達磨図≫。
紙本着色。
白隠の「達磨図」が幾つもあった。いずれもとても面白い。
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鈴木其一≪百鳥百獣図≫の内、「百鳥図」。
絹本着色。
鈴木其一、江戸琳派・酒井抱一の弟子である。奇想の絵描きとはやや趣を異にする。無理やり押しこんだのではないのか、と勘ぐる。
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歌川国芳≪相馬の古内裏≫。
大判錦絵三枚続。
国芳に関し、「幕末浮世絵七変化」とパンフにある。イマイチ好きにはなれないが、奇想であることはそうであろう。
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このところ、美術館ではところどころイスに座って休む。イスがあって空いている時にはいつも。
この日もそうであった。イスに座って休んでいたら、横に小学校の4年生か5年生かと思われる女の子が来た。ボードに若冲の象の絵を描いている。左には芦雪の象も。なかなか面白い。で、その女の子に「その絵、写真に撮らせてもらってもいい?」って訊いた。「いい」と言う。
これである。とても面白い。


なお、音声ガイドのナビゲーターは小林薫であった。
小林薫、安心して聞けるがさしてどうこうというものではなし。


トランプ、中国からの輸入関税、さらに残りのすべてについても引き上げを指示した模様である。
米中交渉、協議は続けるらしいので、トランプのブラフであろう。中国を叩ける、との。が、そうは上手く展開するか。中国は引かないであろう。対抗処置をとってくるであろう。中国の報道官は、「中華民族は・・・」という文言を発している。歴史ある中華民族は成り上がり者のアメリカなどとは違う、ということを言っているようだ。貿易戦争というより、20年以上前ハンティントンが言ったような文明の衝突の様相をも帯びてきたのではないか。
お互い、バカなことをやっている。世界中が大きな迷惑をこうむる。
トランプの頭の中は次の大統領選のことのみ。ラストベルトのプアーホワイト・白人労働者の支持を何としてもつなぎとめなければ、ということのみ。中国とのガチンコ勝負、今なら勝てると読んでいるのであろう。しかし、「中華民族」を持ち出し「何千年の歴史」を誇る中国も引けないであろう。
米中のガチンコ勝負となる。
困ったことだが、また、バカみたいなことだが、致し方ない。場合によっては世界の、それぞれの国家の、また各個人の資産は3~4割目減りするであろう。が、仕方ない。
ドナルド・トランプと同時代に生きていることを呪い、悔やむしかない。