ガンダーラ 仏教文化の姿と形。

千葉県松戸市は、江戸川を挟み東京都葛飾区と向き合う。
「生まれも育ちも葛飾柴又」のご存じ葛飾区が誇る全国区の人気者・ふうてんの寅さんには及ばないものの、松戸市にも誇るべき全国区のふたりの人物がいる。
松戸市自体、今から50年近く前、全国に知られる自治体となった。松戸の市長となった男が、市役所に「すぐやる課」を作った。これが日本全国に驚きを与えた。そんなセクションなど日本全国どこにもなかったのだから。その男が松本清であった。松本清はその後、「マツモトキヨシ」の創業者としても知られるようになるが、松本清の名が全国区となったのは、市長時代の「すぐやる課」であった。
あとひとり、松戸市が誇る全国区の人物は宇宙飛行士の山崎直子。向井千秋に次ぐ日本人2人目の女性宇宙飛行士となった。これも松戸の誇り。
ふうてんの寅さんほどではないが、松本清と山崎直子のふたり、松戸市が誇りとしている。
40年ほど前、松戸市を全国に誇れる文化都市にしよう、と考えた人物がいた。おそらく、その当時の市長の補佐役だったのではないか。市役所の一職員だったのかもしれないが。いずれにしろ、日本人が好きなガンダーラ仏などの市立美術館を作ろう、となったようだ。
しかし、この計画はその後頓挫した。市長が変わったからかもしれない。そういうことは、ままある。それ故、今、松戸市は50件ほどのガンダーラ関連の美術品を持っている。
で、この秋、松戸市立博物館で「ガンダーラ 仏教文化の姿と形」、と題した展覧会が催された。

市制施行75周年、開館25周年記念特別展である。

雨もよいのウィークデーではあったのだが、館内私以外来ている人がいない。
折角の展覧会、少し寂しい。

松戸市とガンダーラ美術、このような経緯。

松戸市の所蔵品ばかりじゃなく、各地の博物館などから借りた美術品を含め100点を超える品々が展示されている。
その中、2点のみの撮影が許されていた。
そのひとつがこれ。
大きなストゥーパの写真を背にしたガンダーラ仏。

これである。

遥か昔、ペシャワールへ行きたかった。いつか行こうと考えていた。ペシャワールの町へ、そして、ペシャワール博物館へ、と。
しかし、その内行くことができなくなってしまった。アフガニスタンにタリバーンが現われ、ペシャワールも危険極まりない地となってしまった。ガンダーラの地は遠くなった。

あとひとつ撮影が許されているもの。

これ。扉である。

緑青であろうか、深い緑色。

展示物の写真、2点じゃ寂しい。パンフレットから何点か複写する。
上は、浮彫「誕生」(部分)。パキスタン。 東京国立博物館蔵。

「方形三尊塼仏」。
奈良県川原寺裏山遺跡出土、奈良文化財研究所飛鳥資料館保管。
日本の発掘成果である仏教美術も。

平山郁夫シルクロード美術館蔵のカニシュカⅠ世金貨。
カニシュカ王、ガンダーラのスーパースターである。

仏頭。
左はアフガニスタンのガンダーラ仏。右はインドのマトゥーラ仏。

お子さまもおいでよ、とこのようなペーパーも用意されている。ガンダーラはこのあたりって。
70年前の子供には面白かった。