世代交代の予感が。

千秋楽を待たず、昨日御嶽海が優勝を決めた大相撲名古屋場所、千秋楽の今日はこういう場面で始まった。

日本相撲協会理事長・八角、千秋楽恒例協会ご挨拶の前に先般の西日本豪雨災害の犠牲者に、会場内すべての人と黙祷を捧げた。役力士を従えて。

今場所初日、NHKの中継画面の外側には、被害が拡大する西日本豪雨災害の状況が報じられていた。
これは初日の横綱以下役力士の模様。
稀勢の里のみ休場。

それが・・・
今日千秋楽を迎える昨日・14日目までの役力士の状況。
稀勢の里に続き白鵬、鶴竜、さらに栃ノ心も相次ぎ休場。
さすれば、と場所を盛り上げるべき豪栄道と高安の二大関も情けない状況。共にこの勝ち星には、サーカス相撲で勝ちを拾ったようなものも2、3番ある。
御嶽海に国民の熱い視線が注がれるのも、理の当然である。

優勝を決めた後の御嶽海、千秋楽の相手は・・・
侮れないぞ、新興勢力の一翼を担う豊山。

暫らく前、長野の人から聞いたことがある。「長野県では、御嶽海の人気、ハンパなものではありません」、と。
毎場所NHKの中継を見ていれば分かる。どの場所でも御嶽海への声援、群を抜いている。名古屋場所においておやである。

御嶽海のお母さんが来ている。
昨日は故郷の公民館で御嶽海と染め抜かれたTシャツ姿であったが、今日は白いワンピースにパールのネックレス、という装いで本場所へ。息子が優勝したんだから。

立ち合い。

御嶽海、攻める。

豊山、土俵際で残す。
両者の攻防、攻守所を変えて続いた。
熱戦が続いた。

最後に勝負を制したのは豊山であった。
土俵際の掛け投げで御嶽海を背中から落とした。
解説の北の富士、「いや、素晴らしい相撲を見せてもらった。今日はこの一番だけでも十分」、という意のコメントをしていたが、まさにそう。結びの両大関の一番など、見てられない。

表彰式に備えるため、床山に髪を直してもらう御嶽海。

御嶽海、賜杯を抱く。
「めっちゃ、重かった」、と後で語っている。

土俵下での優勝インタビュー。

優勝を決めた後の昨日のインタビューとはずいぶん違う。
顔つきが柔らかい。

涙顔を手で覆っていた昨日とはまったく異なる。
いろいろな人への感謝を述べる。
生涯勝率9割以上という江戸時代の伝説の信濃の国の力士・雷電為右衛門が、文化7年(1810年)優勝して以来208年ぶりの信濃(長野県)出身力士の優勝だそうだ。

御嶽海、ついつい顔がほころぶ。
25歳の若者。「彼女募集中でーす」、という若者だ。可愛い。

こんな気の早いものまでが。
よくは読めないが、おそらく”信州の星 めざせ大横綱”であろう。

フィリピン出身のお母さんも大喜び。手を振りあげる。

今場所の星取。
嘉風、2勝目を挙げた。
素晴らしい相撲であった。
まさに、これぞ相撲という。

実は昨日、御嶽海が優勝を決めた日、それに次ぐ歓声が上がった一番があった。
それまで初日から13連敗していた嘉風が明生を寄り倒しに破った時である。館内、歓声がとどろいた。
嘉風、今日の一番も凄かった。
これぞ相撲、若手力士に問わず語りに範を垂れる一番であった。

優勝した御嶽海は殊勲賞と技能賞も取った。そして、敢闘賞を取ったのがこの2人。豊山と朝乃山。24歳の同学年。
彼ら2人だけじゃなく今場所は、阿武咲、北勝富士、貴景勝といった若手力士が活躍した。彼らいずれも25歳前後の力士。
世代交代の予感もする。
そうではあるのだが、白鵬や鶴竜といった海千山千の力士が出てきた時には、手もなくひねられてしまうってこともあるよな、とも思う。
まあ、それも楽しみ。

今場所はこれで終わることにしよう。
今日ではなく、昨日のNHK相撲中継の最後の映像である。
優勝を決めた御嶽海が花道を下がってくる。と、途中で待っていた付き人とガバッと抱き合った。ボケているがそのショットである。
彼らの心中が思われる一瞬である。