神戸散歩(8) 神戸文学館。

暫らく休みましたが、「神戸散歩」あと少し続けます。


横尾忠則現代美術館の4階の窓の真下に見えたのが、関西学院発祥の地のチャペル。

今、神戸文学館となっている。

常設展は「神戸ゆかりの作家たち」。企画展は「昭和レトロ 40年代の神戸と文学」。
入館無料、と記されている。

この辺り、原田の森と呼ばれていたそうだ。そこへ明治37年(1904)、関西学院のチャペルが建てられた。

赤レンガ造りのチャペル、現存する神戸最古のレンガ建築だそうだ。

趣きのある入口へ。

この重厚な木の扉を開けて中へ入る。

神戸所縁の作家たちが記されている。
稲垣足穂、竹中郁、今東光、堀辰雄、長塚節、横光利一、谷崎潤一郎、林芙美子、井上靖、遠藤周作、司馬遼太郎、妹尾河童・・・・・、・・・・・。
久坂葉子、山崎豊子、宮本輝、中島らも、・・・・・、らの名も神戸文学館のパンフにある。多くの作家が神戸に所縁を持っている。神戸文学館のパンフには実に120〜30人の神戸所縁の文学者の名が記されている。
それを眺めている内に、車谷長吉の名がないのに気がついた。『赤目四十八瀧心中未遂』の車谷長吉である。その主人公は尼崎の安アパートの一室で、一串何円で焼き鳥の串に鶏肉をさしていた。
尼崎、優美な谷崎潤一郎の『細雪』の世界やハイカラな神戸の街とは対極にあるが、尼崎も兵庫県、神戸のすぐ近くである。いずれにしろ、神戸所縁の文学者から、車谷長吉を落としてしまっちゃいけないであろう。

神戸所縁の文学者たちの展示。

奥は神戸とは縁が深い竹中郁のコーナー。

神戸大空襲、野坂昭如を想う。
『火垂るの墓』、三宮駅前。少年と妹。

企画展は「昭和レトロ 昭和40年代の神戸と文学」。

こう語る田辺聖子は、昭和40年代、神戸諏訪山の高台にあった異人館で暮らしていたそうだ。

神戸で生まれ育った陳舜臣の一画。『六甲山心中』、『染められた骨』。」

こういう一画がある。
100年前の原田の森である。

明治37年に建てられた関西学院のチャペル。

その内部。

関西学院の全景。

岡部伊都子のコーナーがある。」

岡部伊都子、品のある女性であった。

外へ出て建物を振りかえる。

その一部を切り取っても美しい。

左奥に何やら味のある建物がある。
神戸文学館管理棟、と記されていた。

「敬神愛人」、”MASTERY FOR SERVICE”の文字。関西学院発祥の地なんだ。

このふたつの旗。
神戸文学館と関西学院の。
神戸である。


今日6月23日、沖縄慰霊の日である。

沖縄糸満からのNHKの中継。

沖縄県知事・翁長雄志の挨拶。
沖縄の現状、辺野古への移設、日本政府の施策に異を唱える。

中学生の女の子、「生きる」と題する詩を読みあげた。5〜6分、かなり長かった。

沖縄県民の4人にひとりは死んだ。

今日、それを聞く人たち。女子中学生の訴えを。

沖縄の中学生の言葉を聞く安倍晋三。

翁長雄志。
沖縄県知事・翁長雄志、今年初め膵臓がんの手術を受け、抗がん剤治療の影響もあるのであろう、髪の毛が抜けている。
で、帽子を。

0時45分、NHKの中継は終わる。
この模様を、感慨深い思いで見ておられたお方がいる。
今上天皇である。
広島と長崎への原爆投下の日、そして終戦(敗戦)の日と共に、日本人が忘れてはならない日と仰せられる沖縄慰霊の日である。
平成最後の年の沖縄慰霊の日、宮中の今上天皇、常の年よりは深く祈りを捧げられたのではなかろうか。