病牀五輪(5) プリンス・羽生結弦。

昨日からパラリンピックも始まったというのに、私のこのブログ、今日は大分酔っぱらっちゃったな、面倒だな、とすぐずる休みをしてしまう。昨日一昨日もそう。
ところで、先日からの連載タイトル・「病牀五輪」、肺炎で入院していた病床で見ていたピョンチャン五輪のことを記しているので「病牀」の言葉を使っているが、この言葉は当然のことながら、正岡子規の『病牀六尺』からその前の部分を借用したものである。
私たちの世代は明治の文学を読むのに筑摩書房の「現代日本文学全集」を用いていたが、60年前後も前のもの。今ではとても読みづらい。しかし、今は青空文庫がある。篤志家が著作権切れの書を次々にアップしてくれているようであるが、横書きでとても読みやすい。
子規の『病牀六尺』も青空文庫で改めて読んだ。明治35年(1902)5月5日から死の2日前の9月17日まで、初めの頃は1、2日飛んでいることがあるが、ほぼ毎日さまざまなことが記されている。
俳句、和歌、絵画、社会現象、新聞報道からの考え、虚子、碧梧桐、左千夫などの弟子たちとの会話、その筆致は広くあちこちに飛ぶ。この6、7年前から肺結核からの脊椎カリエスで病床から動くことができないにもかかわらずである。
その行い、意識、凄まじい。
『病牀六尺』、新聞「日本」に連載されていた。子規は毎日原稿を郵送していた。
連載100回目に当たる8月20日、子規はこう記している。
<「病牀六尺」が百に満ちた>、と。
新聞社は原稿を送る状袋を300枚刷ってくれたそうだ。<これじゃあと10か月分ある。果たして病人の眼中に梅の花が咲くであろうか>、と子規は書くが、やはり梅の花まで子規の命は持たなかった。
9月17日、死の2日前まで書き続ける。
   俳病の夢みるならんほととぎす拷問などに誰がかけたか
これが最後の文。
死の4、5日前まで、<五體すきなしといふ拷問を受けた>、というような厳しい状況に陥っていたようだ。
酔っぱらってブログを書くのは面倒だな、なんてことを考えているのが恥ずかしい。ま、しかし、子規とと較べることもあるまい、とも思っているが。


ところで、ピョンチャン五輪で最も注目度の高かった選手は羽生結弦であった。
毎日毎日のニュースで羽生結弦の一挙一動が流される。

フィギュア男子ショートプログラムが行われた2月16日の朝7時のニュース。

その前日の羽生結弦の練習の模様を報じている。

こういうことも。
韓国にも羽生結弦ファンが多くいる、と。

こういうウェブサイトを作っているそうだ。
韓国ばかりじゃなく、世界中に「YUZURU命」の(おそらく)女子がいるようだ。

16日の1時半すぎ、いよいよ優勝を争うであろうラスト4組の6人の演技が始まる。

羽生結弦の演技。

羽生結弦、魅せる。

どうだって顔。

多くのぬいぐるみが投げ入れられる。

羽生結弦のスケーティング、ほぼ完璧であった。
羽生結弦と優勝を争うと見られていたアメリカのネイサン・チェンやカナダのパトリック・チャンは幾つものミスを重ねた。これで羽生結弦、優勝へ大きく足を踏み出した。

宇野昌麿も素晴らしい滑り、ジャンプを見せた。

スペインのハビエル・フェルナンデスも。

ショートプログラムを終わった段階での順位。
羽生、フェルナンデス、宇野昌麿の順。
翌日のフリーへ。

フリー1時間前の羽生結弦。

第4組の6人であるが、実質的には最後に滑る3人、羽生、フェルナンデス、宇野昌麿の争いである。

羽生結弦、フリーでも魅せた。

オレは負けるワケがない、という気構えが感じられた。

当然のこと、トップに躍り出る。

ハビエル・フェルナンデスも素晴らしい演技をした。
フェルナンデスのかっての恋人であるミキティー・安藤美姫も、素晴らしい演技だと語る。

最後に滑った宇野昌麿、さらに素晴らしい演技。

フェルナンデスを抜いて2位となる。

なんと、羽生、宇野、日本ワンツーフィニッシュ。

羽生とフェルナンデスの2人のコーチであるブライアン・オーサー、2人の肩を抱く。

羽生結弦、オリンピック連覇。

最終順位。

それにしてもこの3人、仲がいい。

表彰式の時の羽生結弦、一番高い表彰台にピョンと飛び乗った。
これがまたカッコよかった。
そう言えば、この赤い色の少し丈の長い日本のユニフォーム、とてもいい。ここ暫らくのオリンピック、パラリンピックのユニフォームでは最も洒落たものであった。

金メダルを取った翌朝のニュースに出た羽生結弦、こう語る。
そうかもしれないな、とも思う。しかし、羽生結弦、勝つべくして勝った、とも言える。
羽生結弦の前の男子フィギュアのスーパースターはロシアのエフゲニー・プルシェンコであった。プルシェンコ、「皇帝」と呼ばれていた。が、五輪連覇の後の羽生結弦は、「プリンス・王子さま」となった。
安倍晋三が羽生結弦に国民栄誉賞を贈りたくなるのもよく解かるな。


その安倍晋三、この一両日内外共に慌ただしい。慌てている。
金正恩とドナルド・トランプが5月までに会うってことになった。
その前に金正恩と文在寅の南北首脳会談が4月末に板門店の韓国側施設で行われる。これも驚きだが、金正恩ととトランプの米朝首脳会談なんて暫らく前まで誰も予想しなかった展開だ。安倍晋三もビックリしたろう。アメリカから事前に通告を受けていると強がっているが、果たしてどうか。で、4月の早い時期にアメリカへ飛びトランプと直接会談するとした。
ここ数日驚くべきことが続いている。私も酔っぱらってブログを書くのも面倒だな、とずる休みをしている場合じゃない。(でもないか。金正恩とも、ドナルド・トランプとも、安倍晋三とも何ら関わりのない私などはどうでもいいことではあるな、と言うことは理解はしてはおりますが。)
それにしてもドナルド・トランプは何をするか分からない男だ。
ヘルメットを被った鉄鋼労働者を後ろに引き連れ、鉄鋼とアルミの関税を引き上げると宣言した。保護主義もいいところである。全世界に貿易戦争を吹っかけた。金正恩と会おうと言った男が片方では全世界に対し戦争をしかけている。日本も対象である。トランプの盟友を自任する安倍晋三、どうする。頭が痛いであろう。
安倍晋三、国内でも頭の痛いことがある。
昨日、国税庁長官・佐川宣寿が辞任した。森友がらみの文書が改竄されていた、という朝日新聞の報道に絡んでのことである。財務省理財局長であった佐川宣寿、終始政権をかばい続けたが、ついにとなった。
この問題、政権が潰れるか、朝日新聞が潰れるか、とも言われていたが、どうも朝日の方に理があったようである。が、何のかのと言っても支持率の高い安倍政権、潰れることはないであろうが。立憲民主党国対委員長の辻元清美が言うように、「何やら佐川さんが気の毒に思えてくる」との言葉、まさにその通りであろう。
官僚は所詮宮仕え、いざとなれば政治家に切られることは必定、ということの典型であるか。