美の棲む処 iーact展の相本みちる。

やはり11月半ば、軍手の作家・相本みちるさんから封書が届いた。三つ折りにされた厚手の紙に刷られたリーフレットが入っている。
<中野中企画 「美の棲む処 i−act Vol.8」>、と刷られた案内状。
企画者である美術評論家・中野中の言葉が刷られている。このような。
<美の使徒たらんと覚悟したそのときから、苦難の道は宿命となったはずだ。・・・・・。・・・・・。
 悩み、とまどい、闘うところにのみ美はうまれる。・・・・・。 ・・・・・>。
大谷翔平もビックリの剛速球。
タイトルは、「君よ美の棲み処たれ!!」。
雨だれが二つもついている。正直言って驚いた。

銀座6丁目の昭和通り近く、今月初旬のギャラリー暁。

「美の棲む処展」2002年が第1回である模様。今回はVol.8、8回目であるのだろう。

ギャラリーに入る。
「美の使徒たらんと覚悟した」人たちの作品が並ぶ。

こちら側は。

向こうに相本さんがいる。
少し窪んでいる所。

作家・相本みちる、こう語る。
「今回の会場がここギャラリー暁に決まった時から、この少し窪んだ所を使いたかったんです」、と。
確かにそう。ピタッと決まっている。洞のような感じを受ける。

何人もの人が興味を示す。

相本みちるの作品、その素材は軍手である。
確か、軍手を切らずに木綿糸で縫い合わす、といつか言っていた。軍手が千変万化さまざまに変化する。
今回は洞の中に。
人の顔のよう。

そのタイトルは、これ。
軍手作家・相本みちるも、その作品のタイトルに特異な言葉遊びを持ちこんでいる女流作家である。
私ごとき感覚ではついていけない。ウーンである。
それはさておき、今年も孫坊主を抱いて茅の輪くぐりをしてきた私、作家・相本みちると茅の輪について話す。

「茅の輪」、いや「手の輪」の上の方。

下の方。

左、

右。
すべて軍手で作られている。相本みちるの完璧なオリジナル。
しかーし・・・

ウッ、なんじゃこりゃ。お賽銭があがっている。
作家・相本みちる、こう語る。
「これは見にきた人が小銭をあげて、それが何人もの人になって、こうなった」、と。
確かに、洞のような所にある「手の輪」、誰しも「茅の輪」を思うもの。

何人もの人が写真を撮っていく。
とても面白いもの、この作品。
右の方にひとつ作品がある。

これである。
タイトルは、≪子規さん≫。
相本みちる、こう語る。
「この間の新宿の展覧会の時、この作品はてっぺんの方、高い所にあったのでよく見えなかった。だから、今回この正岡子規だけを連れてきた」、と。
相本みちるは、この夏前の新宿でのZeroーK展に、肖像シリーズなる作品を発表していた。
夏目漱石や板垣退助、与謝野晶子、聖徳太子、さらにアインシュタインやエジソン、その他さまざまな人の肖像を。正岡子規もその中にいた。が、子規は高い所につけられていた。
だから、見難くかったろう、とのことから、今回、子規だけを展示した、との相本みちるの話。
相本さん、さまざまな場にコミットし、火の玉のような一面も持っているが、必ずしも剛速球一本やりではない。ゆらり、遊びの部分もある。