日展。

暫らく前、書家の茂野柰園さんから手紙が来た。富士の絵柄の一筆箋に優美な水茎が走る。
日展に入選したので招待状を同封します、というもの。

このような葉書が同封されている。
展覧会のチケットや招待状をもらうことはある。しかし、朱印が押された招待状をもらったのは初めてである。さすが日展だな、と思う。
そこで考えた。私は日展に行ったことがあるのかな、と。
思いだせない。ひょっとしたら、日展に行ったことがないかもしれない。
ということで、ヨコトリから一転、日展へ。

茂野さんからの手紙には、この紙片も入っていた。
荘内日報の切り抜きをコピーしたもの。
故郷はありがたいものである。鶴岡出身の茂野柰園の日展入選を大きく報じている。

乃木坂の国立新美術館、日展は1階から3階までを使っている。
日本画、洋画、彫刻、工芸美術、そして書の5部門で。
1階のここから入った。

日展のリーフレットが置いてある。
日展、英語表記では、”The Japan Fine Arts Exhibition”というらしい。
日本のファインアート、日展こそ王道、という意であろう。

1階で入ったところは、工芸美術のところであった。
多くの作品が並んでいる。

2階の洋画の部。
やはり、作品がびっしり。

彫刻の部のこの部屋には驚いた。
裸婦や着衣の彫像が立ち並んでいる。

ぎっしり詰まっている。
ところ狭し、と。

書は3階。
書もぎっしり詰まっている。

書の部だけで25室ある。
今年の書部門への応募点数は8457点、その内1028点が入選した、という。

茂野柰園の作品は23室。この部屋にある。

茂野柰園の作品、ガラスケースの中にあった。

芭蕉の「おくのほそ道」の一節を書いた巻物。
5行が開かれている。

その5行は・・・
     俳諧一巻有
     り 左吉も共に
     送りぬ 川舟に
     乗りて酒田の
     湊にくだる 淵
文意と改行の微妙な様、せめぎあい、見てとれる。