東博へ初詣(続き×3) 若冲。

去年の夏前、上野は伊藤若冲で盛り上がっていた。生誕300年を記念する若冲展、東京都美術館には長い列が続いていた。
私は3度行った。しかし、その行列に並ぶ気力がなく、いずれも戻ってきた。一度は夜間開館で雨が降っている、という入るには条件のいい日であったが、やはり長蛇の列、居酒屋へ戻った。
≪動植綵絵≫は見ている。皇居の三の丸尚藏館へも行っている。半世紀近く前の東博での「若冲 特別展観」の図録も出てきた。それらも含め、「若冲狂騒曲」を記した。3度行き、3度戻ってきた口惜しさをも含め。
東博へ初詣特別2室「暁の鳥」には、若冲の屏風が出ている。

伊藤若冲≪松梅群鶏図屏風≫。
紙本墨画淡彩。

若冲の群鶏図だというのに、東博のこの説明書き淡泊に過ぎないか。あまりにもあっさりしすぎではないか。

こちらから。

そして、こちらから。墨画淡彩の群鶏図を。


ところで、今日は出かけていたので相撲は見ていないが、昨日の8日目・中日は見ていた。中継途中、面白く思ったところがあった。
昨日の実況中継のアナウンサーは三瓶アナウンサーであった。正面解説は大島親方、元旭天鵬。そして、ゲストはパトリック・ハーラン、ハーバード出の芸人・パックン。
大島親方も明るい性格、よくしゃべる。パックンはしゃべりが命の芸人だ。頭もいいから知識も豊富、よくしゃべる。三瓶アナはアナウンサーだから、当然しゃべる。このお三方、ペラペラとやっていた。よくしゃべる。
と、照ノ富士と豪栄道の今場所初の大関同士の一番になった時、三瓶アナこう言った。
「パックン、この両者の気合いが高まっていく様子をじっくり見ようかと思うのですが、いかがですか」、と。しゃべりが命のハーバード出の芸人・パックン、「正直あまり仕事したくないです」、と笑いを取ろうとするコメントで応じる。
この後2分ほどNHKの画面には、国技館内の音以外、音声は途絶えていた。
照ノ富士と豪栄道の土俵上の所作が流れる。塩を取りに行ったり、蹲踞の姿勢をとったり、お互いを見るともなしに見たり。
そうすると、不思議なことに本場所の土俵を直接見ているような気がしてくる。テレビの前でなく、国技館で見ているような気持ちになった。
周りからの声や情報を遮断した面白さ、と言ってもいいのではなかろうか。

≪松梅群鶏図屏風≫の右隻。

左隻。
情報はこれのみ。
以下、若冲の墨画淡彩の群鶏図をいかようにもお楽しみください。昨日のNHK照ノ富士と豪栄道の一番、言葉を挟まずただ映像だけを追ったような場面のように。














ただ、若冲の世界。