さいたまトリエンナーレ(2) 高田ツインズ。

さいたまトリエンナーレ、11月中旬の最初の日は、JR武蔵浦和から別所沼公園の日比野克彦の作品を見て帰ってきた。が、途中少し寄り道をした。

こういう標識がある。
右の武蔵浦和駅から来て、左の方の別所沼公園へ行った。途中で標識の上の方へ行った。旧部長公舎へ。旧部長公舎って以前の浦和市の役人が入っていた所であろう。一般に比べ驚くほど安い家賃で。

旧部長公舎、4軒あった。いずれも1階に3部屋、2階に3部屋程度のもの。

高田安規子と政子姉妹による、この奥に見える古い家でのインスタレーションを。

高田安規子と政子、一卵性双生児だそうだ。私は初めて知ったが、「ツインズ」、「ツインズ」という声を何度か聞いた。人気があるらしい。
高田ツインズ、姉妹ユニットであり、今までの道のりも同じ。日本で学んだ後イギリスの美大へ行っている。何から何までみんな同じだなと思っていたら、よく見たら日本の大学が異なっていた。お姉さんの安規子は多摩美で、妹の政子は造形大であった。が、あとはすべて一緒。
高田ツインズのインスタレーションのタイトルは、≪土地の記憶を辿って≫。
さいたま市のあたりは、縄文時代、縄文海進によって海水が入りこみ、それが自然と後退していった後、無数の沼や湿地が残った、という。
その縄文時代から現在までの土地の記憶を辿ろう、というもののようだ。

いつの頃かの蟹。

貝が幾つも。

地形図。

雪見障子のガラスには、縄文時代の海岸線や現在の海岸線が描かれている。

このガラス戸にも。

部屋に残っていた鏡には、スタンプで縄文時代の貝を刻印している。
土地の記憶を辿っている。

種や葉っぱを描いた壁紙。

台所は喫茶店に。無料のパンフや有料の関連書が並ぶ。

障子。
旧部長公舎の空き家に残された古い障子を使っている。
<その補修方法は、花などの紋切り型に紙を切り抜き障子の破れた個所に貼りつけるという日本の伝統文化である紋切り遊びから着想された>、と説明書きにある。

こちらの障子も同じである。
<さいたま市に位置する見沼田んぼ、大都市に残された自然保護地域>、との説明がある。いきなり、「見沼田んぼ」なるものが出てきたが、言ってみればさいたま市のあたり、縄文の頃から沼や湿地が多かった、ということであろう。
それよりも、上に挙げたふたつの障子には、見沼の絶滅危惧種78の生物たちが構成されている、という。動物や、鳥や、魚や、木や、草など78種の生物で。

こちらも。

亀だな。

泥鰌かな。
どじょうにしてはクネクネ感がないが。が、このヒゲからいって、やっぱりどじょうであろう。
それよりもである。
やっぱりどじょうであろう魚を、よく見ていただきたい。
障子紙に貼られている動物や植物、鳥や魚など、どうも旧部長公舎に残されていた古い障子紙を使っているようだ。つまり、経年劣化した古い障子紙をはがし、切り抜いている。
高田ツインズ、ニクイことをしてくれる。このやっぱりどじょうであろう魚を見ても。

行燈がある。
高田ツインズ、新しいひかりを創りだす。

2階の窓から入ってきた方を見た。
柿がいっぱい実っていた。
秋の色。
この日、別所沼公園最寄りの中浦和駅近くの居酒屋で少し飲み食いし、帰る。