日本のこころと美2016 奥宣憲書作展。

東京での奥宣憲書作展、2年ぶりである。

5月下旬、サミットの頃であった。
銀座1丁目のギャラリーいずの周りにも、2、3人組のお巡りさんが次々に行きかっていた。

奥宣憲の「ごあいさつ」。

漱石没後100年。それにしても大文豪、その死、今から思えばあまりにも早い。

<漱石坊ちゃんの一節を没後百年に>、と作家・奥宣憲は書く。
その筆の跡、まるで坊ちゃんが書いたかのようにも思える。

     不老只當養一眞   (漱石 七言律詩)

     風ニ乗って輕く能しゆく燕かな     (漱石の句)
漱石の句も句、奥宣憲の書も書。
軽味・かろみという言葉を感じる。

中央の男が、作家・奥宣憲。

「いろは歌」
<このたび、凡そ35年経て色褪せた本鳥の子張襖八面に直接揮毫する好機を得た>、と作家・奥宣憲は記す。

<気持ちのいい緊張感をもって筆を執った>、とも。

作家は言う。
「一気に書きました」、と。

このような説明書きが。

これも。

凡そ35年を経た本鳥の子張りの襖、墨をはじくようだ。
これは「え」。

三条西実隆『詠源氏物語巻々和歌』シリーズの第一弾から、以下4点を。
複雑な文字、またルビなどがある故、それぞれ作家による読みを複写する。








王朝の世界、一葉限りの雅な料紙に優美な水茎。

「おのれを志るをも能しれる人といふべし」    (吉田兼好『徒然草』 第134段)
文字はもちろん、この軸装のバランス、得も言えず。

奥宣憲書作展、今秋には大阪・茨木でも。
関西にお住まいのお方はぜひ。



ドナルド・トランプばかりじゃなく、世界中が内向きになっている。
イギリスのEU離脱か否かの国民投票、まさかまさかの結果となった。BREXITが現実のものとなった。

今日正午のNHKニュースの画面。
0時14分現在、離脱は51.1%、残留は48.9%。離脱がややリードしているが、まだどちらに振れるか、という状況であった。
前日比、為替は2円53銭の円高、日経平均は495円95銭の下落であった。為替は一時、100円を割りこみ99円台となった。
しかし、離脱、残留の得票、じりじり少しずつ開いていく。1時間もおかずBBC、離脱確実の報を流す。
イギリス国民、バカな選択をしたものだ。
EU域内からの移民の増大により、彼らに職を奪われる。また、ブリュッセルからの指図は受けたくない、という大英帝国のプライド。現実を直視できない感情に流されている。イギリス国民、ポピュリズムに掠めとられた、と言っていい。
キャメロンは辞意を表明した。
「イギリスのインデペンデンス・デーだ」、と叫んでいるイギリス独立党の党首にドナルド・トランプの姿が重なる。ドナルド・トランプ、もちろんイギリスのEU離脱大歓迎。親父から右翼政党を引き継いだフランス国民戦線のマリーヌ・ルペンは、「イギリス国民よくやった。次はフランスだ」、と叫んでいる。フランス国民戦線、娘が引き継いで以来、親父の頃より勢いを増しているんだから厄介だ。
ヘタをすると世界中、国粋主義の国ばかりになってしまうよ。
プーチンのロシア、習近平の中国、そしてこの秋には恐らくトランプのアメリカ、さらにイギリス、ヘタをすればフランスや先日反EUのローマ市長が誕生したイタリア、さらにさらにと続いていく恐れがある。国粋主義のドミノ現象が。困ったものである。
日本も困っている。

夜7時のNHKニュース画面。
日経平均、今日の終値、14952円2銭。前日比1286円の暴落となる。1日の下落幅ではリーマンショックを超えた。
日経平均は8%の下落だが、日本時間夕刻から開いたヨーロッパの市場でも大きく値を下げている。10%前後の下落。
階級社会のイギリスで今回離脱に投票した人は、高齢者と労働者と言われている。プライドと職の不安である。根底には経済格差の問題がある。
今、世界中に蔓延するポピュリズムに根ざした国粋主義、その根底は格差。