ミケランジェロ・プロジェクト。

『ミケランジェロ・プロジェクト』、昨年秋公開されることになっていたが中止された。日本での公開自体、中止か、という状態であった。
ジョージ・クルーニーが製作、脚本、監督、そして主演を務めるこの作品、アメリカでも大ヒットというわけではなかったようだ。が、それはそれとして、アメリカでの公開も延期を重ねていたらしい。
何か事情があるのか。
この作品の原題は「The Monuments Men」。第二次世界大戦末の1944年、戦争体験ゼロの特殊部隊がナチスに奪われた美術品を奪還する、という物語。実話に基づいている。
絵描きになる夢を持っていたヒトラー、美術に関しても”狂”の字がつく。ナチスが略奪した美術品、半端なものじゃない。レオナルド、レンブラント、フェルメール、ゴッホ、ルノワール、・・・・・。中でも奪還すべきは、ファン・エイク《ヘントの祭壇画》とブルージュのミケランジェロ《聖母子像》。
「The Monuments Men」、ナチスに奪われた美術品を奪還、元の持ち主に返そう、とするもの。最終的には500万点の美術品や工芸品、文書などを取り戻した、という。

『ミケランジェロ・プロジェクト』、日本でも4日前に公開された。観に行った。
映画関係、夏前からの積み残しが溜まっている。が、久しぶりのブログ、最新公開作から再開することとする。

『ミケランジェロ・プロジェクト』なる日本語によるタイトル、ナチスに奪われたミケランジェロの《聖母子像》の奪還作戦ということなのであろうが、全編のタイトルとしては違和感がある。

「The Monuments Men」、構成員は7人。
すべてアートがらみの人物ばかり。ただし、戦争体験はまったくなし。概ね年寄りである。
このような人たちである。

左から、ハーバード大学付属美術館館長、美術史学者、ジョージ・クルーニーが扮する。次いで、メトロポリタン美術館主任学芸員、扮するのはマット・デイモン。次いで、ビル・マーレイが扮する建築家。
少し脱線する。ここ近場の映画で最も面白かったのは、このビル・マーレイ主演の『ヴィンセントが教えてくれたこと』。ご近所の映画館でまだかかっていれば、ぜひに。
進む。
4人目は彫刻家、5人目は元美術学校主任で美術商、6人目は美術史学者で舞台興行主、そして7人目は元歴史家。
それぞれの人にモデルがいる。だから、実話に基づく、と。
アメリカでも日本でも公開が延び延びになっていたのも、そこらに原因があるのかもしれない。

「ワシントン原則」というものがある。
1998年、アメリカの主導で、ナチスが略奪した美術品の出所確認と返却に関する協定が結ばれた。しかし、多くの問題をはらんでいるようである。
また、ナチスによる略奪美術品ばかりじゃなく、さまざまな文化財の返還問題がある。古代ギリシャ、ローマ、エジプト、・・・・・、と。
アメリカばかりでなく日本でも公開が延び延びになっていたこと、その根元には、美術品を含む文化財の返還問題がある模様。さまざま、単純な頭で叩いてくれるな、という。

左は、ヒトラーが計画していたバカでかい総統美術館の模型を見る、「The Monuments Men」の面々。
右は、メトロポリタン美術館主任学芸員と、パリ陥落後も国立美術館職員としてナチスの動静を探っていたレジスタンスの女性。
マット・デイモン扮するメトロポリタンの主任学芸員は、翌日、ドイツへ向かうこととなる。パリ陥落後も国立美術館の職員としてナチスの下で仕事をするレジスタンスの女、ケイト・ブランシェットが扮する。
レジスタンスの女、明日激戦が続くドイツへ入るメトロポリタン美術館の主任学芸員に、こう言う。「今晩、泊まっていって。ここはパリよ」って。
しかし、メットの男は、レジスタンスの女の肩に手を置いただけで部屋を出ていく。
おいおい、どうしたマット・デイモン。相手は「ブルージャスミン」のケイト・ブランシェットだぞ。知的で妖艶な女だぞ。
その女を袖にしたっていうわけか。
いや、これはマット・デイモンの問題ではないな。脚本、監督のジョージ・クルーニーの問題なのだが。



ここ数日の世界、さまざまな動きがあった。
中国では国共、国民党と共産党のトップが握手をしていた。習先生、馬先生、と呼びあって。
昨日のミャンマー(ビルマ)での総選挙では、アウンサン・スーチーの野党が大勝している模様。


一昨日、学生時代の第二外語によるクラス分けで同じクラスであった人の偲ぶ会へ出た。
癌が進行していたそうだ。
多くの人が彼女との想い出を語った。
手術も抗がん剤治療も断り、残りの人生を好きなことをして過ごすことを決意したそうだ。
最後に挨拶に立たれた息子さん、こう語る。ゴルフへは何回、麻雀は何回、観劇へは何回、旅行へは国内国外問わず何回、と。
したいことを気ままにし、旅立ったようである。
その決断、素晴らしい。

大きな盛り花がいくつもあった。偲ぶ会終了後、そのお花を崩し、参会者すべてに持たせてくれた。
ガラスの器に活けた。