世のため、人のため。

ノーベル賞ウィークが始まった。去年は3人もが取っているのだから今年はいいや、ないだろう、と思っていた。2、3年に一度ぐらいがほどいいんじゃないか、とも。
しかし、初っ端の医学・生理学賞でいきなり取ってしまった。
北里大学の特別栄誉教授・大村智先生。初めて聞く名である。微生物由来の抗寄生虫薬で、年間3億人の人を救っているそうである。「イベルメクチン」という熱帯病の特効薬だという。アフリカなど熱帯地域の多くの人たちの命を救っているんだ、この薬は。偉い人だ。
大村智先生、山梨県韮崎の農家の生まれだそうだ。大学へ行ってもいいよ、という父親の言葉で進学した、という。大学を出た後、定時制の工業高校の先生をしている。その時、夜間、油にまみれた手で教室に駆けつける生徒を見て、自分はもっと勉強しなければ、と思ったそうだ。直接には何の繋がりもないが、二宮金次郎が頭に浮かぶ。
会見をした大村智先生、こういうことを語っている。
「世のため、人のためになることをしよう、と考えていた」、と。
「人の真似はしない」、と。
「失敗は何度してもいい。失敗を恐れることはない」、と。
世のため人のためなんてこと何もしていない私である。そのくせ、人の真似はしている。かろうじて3番目の”失敗を恐れない”が、大村智先生と同じであるか。恐れるも何も、失敗ばかりの人生を過ごしてきたのだから。何があろうと、OKだ。
知らなかったが、韮崎に「韮崎大村美術館」がある、という。
7、8年前、大村智先生が、韮崎市へ建物と収集品を寄贈したそうだ。
今回のノーベル医学・生理学賞、大村智先生と共にアイルランドと中国の学者に贈られた。3人、同時受賞である。いずれも、熱帯病に対する特効薬の開発に関わるものである。莫大な特許料と結びつく。
大村智先生の場合、その額は、数百億の単位となるそうだ。大村智先生、それを北里大学のために使った。そして、美術品の収集にも使った。故郷韮崎に美術館を造った。その美術館を収蔵品もろとも韮崎市へ寄贈した、という。
熱帯病の特効薬と同じく、これもまた「世のため、人のため」である。



5年に亘ったTPP交渉、先ほど大筋合意をみた。
太平洋両岸の12カ国、全世界のGDPの約4割をカバーする。
経済財政政策担当大臣・甘利明、よくやった。環太平洋の自由主義経済圏、守り抜かなきゃ。