フォワード戦を挑み、スクラムを押すジャパン、涙が出る。

強豪の南アフリカに勝った。これもいけるぞ、と臨んだスコットランドにはミスが重なり大敗した。そして、昨夜半のサモア戦にも勝った。それも完勝。

ラグビーW杯2015、日本は驚くべき進化を遂げている。
ディフェンスが凄い。低いタックルで、巨漢相手に立ち向かう。低く突き刺すタックルで、大きな相手を倒す。
さらに加えてフォワードだ。体重で勝る相手にフォワード戦を挑む。スクラムを押す。考えられないことが起きている。
ラインアウトからのボールを、ドライビングモールで相手ゴールへ押しこむなんてことも行なっている。日本がドライビングモールを押しこむなんて、あまりのことに涙が出る。

昨夜の日テレの画面から。
サモア、ウォークライ圏の島国。試合前のサモアのウォークライ・シヴァタウ。戦士の踊り。
右側の男は、その頭の姿から見て五郎丸であろう。

日本の先発メンバー。
5番のロック・大野均は、37歳150日で、日本のW杯最年長出場となり、歴代最多96キャップとなる。
なお、キャプテンのリーチマイケル他、南アフリカ生まれの松島幸太朗を含め、日本の先発メンバーの中で外国出身選手は6人。

前半6分44秒、五郎丸、左隅に飛びこみトライ。
しかし、その前に日本サモア双方に反則があり、トライは認められず。日本にペナルティーキックが与えられる。ゴール正面のPG、五郎丸何なく決めて、日本が先制する。

日本、3−0でサモアに先制する。
昨夜のエディ・ジョーンズ、勝ちにいっている。

15分過ぎ、サモアのナンバー8・レヴァヴェ、イエローカード、シンビンを喰う。10分間の退場だ。
サモアのナンバー8、大男である。レヴァヴェばかりじゃない。この3分後にも、サモア、シンビンで戦力を欠く。

前半23分、サモアゴール前。
日本、スクラムを押す。
日本、数的優位にたっている。サモア、スクラムを故意に崩す。2度続けて。主審、日本の認定トライを宣す。

8対0となる。
驚いた。日本が認定トライをあげるなんて。涙が出る。

五郎丸のコンバージョン・キックも決まり、10対0。
サモアのヘッドコーチの表情が硬くなる。こんなはずじゃない、と。確かに、実力はサモアの方が上、と言われているのだから。

34分すぎ、五郎丸のPGで13対0。
日本、リードを広げる。

前半終了間際、サモアゴール前での日本の攻撃、凄かった。1次、2次、3次、次々と攻撃を仕掛ける。10数度の攻撃をサモアゴールに。
最後は、ウィングの山田、ゴール右ギリギリに飛びこみトライ。
スピンをして相手のタックルをかわし、まさに、これぞダイビングトライ、というトライをあげた。

まさにダイビングトライ。

右足で蹴る選手にとっては最も難しいゴールポスト右端からのコンバージョンキック、五郎丸、決めた。
これで、20対0。日本、リードを広げる。
10年近く前、秩父宮へ行ったことがある。早明戦を観に。五郎丸がまだ学生時代。その頃には既に、五郎丸の人気は凄かった。五郎丸が紹介されると、秩父宮のスタンドは揺れた。
その頃の五郎丸、どういうルーティンでボールを蹴っていたのか、まったく覚えていないが。

前半を終り、20対0。
日本のキャプテン・リーチマイケルの描いていた、理想のシナリオではないか。

46分35秒、後半が始まっている。
左下に五郎丸のキック、5本中4本が成功と出ている。
このPGも決める。

日本、23対0とする。
3トライ3ゴールでも追いつかれないスコアである。

55分すぎ、後半も半分近く過ぎた頃。左下に日本の得点経過が出ている。
8分、五郎丸のPGで3点。24分、認定トライで8点となり、25分、五郎丸のコンバージョンゴールが決まり10点。35分、五郎丸のPGで13点。41分、山田のトライで18点。五郎丸のコンバージョンキックも決まり20点。その後も五郎丸のPGで点差を開いていく。

55分すぎ、前半終了間際トライをあげたウィングの山田が負傷退場する。

味方ボールのスクラム成功数、日本は8回、サモアは2回。
日本のスクラム、いかに強固なものかよく分かる。巨漢ぞろいのサモアに対し。

58分すぎ、後半も残り半分に近くなった頃。ペナルティーを得た日本、五郎丸のPGで3点を加え、26対0とする。確実に勝ちにいった。
そうではあるが、解説の薫田真広、こう言っていた。
「ベスト8に残るためには、ただ勝つのではなくボーナス点1が加算される選択も」、と。
つまり、薫田はこう言っているんだ。「PGじゃなく、ドライビングモールを押しこみ、トライを取るべきじゃないか」、と。私もそう思う。いかにサモアが日本より地力に勝るとはいえ、残り20分少しで3トライ3ゴールでも追いつかれないスコアなんだから。
過去24年間、わずか1勝しかあげていない日本、W杯一大会で2勝をあげることにこだわった。

確かにサモアは強い。63分すぎ、連続攻撃からトライを奪われた。
これで26対5。

しかし、サモアは荒いチームである。後半終了間際にもイエローカードをもらいシンビンとなる選手が出た。
スクラム2列目、ロックのパウロ。頭を抱かえこんでいる。

ノーサイド、世界的にはフルタイム、という言葉が使われているようだが、26対5で日本の完勝となった。

日本が3戦終わった時点のプールBでの位置。
が、この後、南アフリカがスコットランドを破り、日本は3番手となった。
残り一試合、アメリカ戦。日本が勝ったとしても、ベスト8に残るには厳しい状況となった。
しかし、考えてもみよう。
そういう状況であること自体、凄いことなんだ。