責任と責務。

70回目の終戦の日であり、敗戦の日である。

政府主催の全国戦没者追悼式。

ホストは、内閣総理大臣・安倍晋三である。
約310万人の戦没者を悼み、「戦争の惨禍を決して繰り返さない」、と述べた。しかし、日本が敗れたあの戦争のことについては、直接は触れない。昨日の談話と同様、直接話法ではない。主語の明確でない間接話法を使っている。
アジアの国々を侵略したことは事実である。その責任があろう。そうであるなら、反省も必要であろう。で、苦労に苦労を重ね、文言を組みたてている。あやふやな文章を書くのって難しい。責任や反省をあからさまにしない文言を綴るのは。
が、今日、今上天皇は安倍晋三へ特別講義をされた。

天皇、皇后両陛下、標柱の前に進まれ頭を垂れられる。

今上天皇、こう述べられた。
「・・・・・、さきの大戦に対する深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い・・・・・」、と。
今上天皇のお言葉、安倍晋三の言葉と異なり直接話法である。主語も明確である。「私」、今上天皇その人である。
その中で、「さきの大戦にたいする深い反省」を述べられた。
これは、内閣総理大臣である安倍晋三に対する特別講義ではないか。私には、そう思えた。
昭和29年(1954年)生まれの安倍晋三、完全な戦後世代である。今上天皇は、昭和8年(1933年)生まれ。終戦時は11歳、戦争の何たるかを、その身で感じておられる。さらに、父君・昭和天皇の足跡もつぶさに学習されている。
昭和天皇の責任を自らの責務、とされておられる。
その責務を、今、日本の最高責任者・内閣総理大臣である安倍晋三に講義、伝授されたんだ。人生の先輩、戦争を知る世代として。
安倍晋三がどう受け取ったのかは、分からない。
しかし、臣・晋三の意識はあろう。それならば、今上天皇のお心、心して受け取ってほしい。