ニューヨークの巴里夫。

『ニューヨークの巴里夫(パリジャン)』、原題は『Casse tete Chinois (中国のパズル)』。ややこしい男のお話である。中国のパズルってどのようなものか知らないが、きっと何やらややこしく複雑なものなのだろう。
しかし、さすがフランス映画、その普通はややこしい状況にあるお話も、重くはしない。シャレた小粋な物語とする。いや、しゃれてるよ、ホント。

主人公のグザヴィエ、結婚して10年、子供も2人いる40歳。そこそこ売れてきた物書き、パリに住んでいる。
ところが、ニューヨークへの出張から帰ったカミさんから別れてほしい、と言われる。何でもニューヨークに好きな男ができたから、と。嫌も応もない。カミさんは2人の子供を連れてニューヨークへ。
グザヴィエも、学生時代の友だちであるレズの女友達を頼りニューヨークへ。
脚本・監督は、セドリック・クラピッシュ。
10数年前、若い頃のグザヴィエを撮ったクラピッシュの2作品がある。25歳のグザヴィエと30歳のグザヴィエを追った。それは、観ていない。10数年前は私はまだ現役の頃、映画などあまり観ることはできなかった。それと今回の作品で、グラヴィエ三部作となるそうだ。
しかし、前2作は観ていなくとも面白い。

グザヴィエに扮するのは、ロマン・デュリス。あとの3人は、元彼女や元妻、レズだからそういう関係はないが、学生時代の友人。
はからずも、皆さんニューヨークへ集まってくる。

グザヴィエ、子供たちに会うため、ニューヨークの元カミさんのアパートメントを訪ねる。
元カミさんの今の彼、なかなかできるビジネスマン。性格もいい男である。フランス人は小柄な男が多いが、グザヴィエもそう。それにしても、このニューヨークの男はデカイ男である。

グザヴィエ、チャイナタウンに部屋を定める。

本作、パリジャンでなくても、ニューヨークの街中を歩いているような気にさせてくれる。
グザヴィエの元カミさんが、新しい恋人と住んでいるドアマン付きの豪奢なアパートメントは、マンハッタンの中心・セントラルパーク周辺。グザヴィエがアパートを借りるチャイナタウンは、マンハッタンの下の方のダウンタウン。グザヴィエが頼る学生時代の友だち・レズのイザベルが住むのは右下の方のブルックリン。
久しく行っていないニューヨーク、疑似体験をさせてくれる。

グザヴィエと3人の女、ってところかな。
左は、学生時代からの友だちであるレズビアンのイザベル。実はグザヴィエ、レズのイザベルが子供が欲しいというので、精子を提供しているんだ。これも重い問題だよ。いかに友だちだとはいえ。
グザヴィエの右は、元カミさんのウェンディ。今はアメリカ人のナイスガイと、新しい生活を営んでいる。子供たちも含めて。
右端の女は、グザヴィエの元カノであるマルティーヌ。どういうことであったかニューヨークへ来ている。

ニューヨークに住むための偽装結婚とか、ややこしい話もいろいろある。

子供たちとの関係は良好だ。
これは、ロワー・イーストサイドあたりであろうか。趣きがある。

グザヴィエと元カノのマルティーヌ。それをグザヴィエが見ている。
これは発展がありそうだ。グザヴィエの息子も後押ししている。しかし、よく見るとこの二人、いかにもフランス人らしいカップルだ。
グザヴィエに扮するのは、ロマン・デュリス。マルティーヌに扮するのは、オドレイ・トトゥ。
今年初め、2月19日、MOT(東京都現代美術館)での「ミッシェル・ゴンドリーの世界一周展」を思いだす。
ミッシェル・ゴンドリー、ボリス・ヴィアンの作品を元に、『うたかたの日々:ムード・インディゴ』という映画を創っていた。デューク・エリントンへのオマージュ感溢れる不思議な作品。
その作品の主役二人が、ロマン・デュリスとオドレイ・トトゥ。
フランスであればこその二人。『うたかたの日々 ムード・インディゴ』であろうと、『ニューヨークの巴里夫』であろうと。


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