奈良小散歩(3) 二月堂裏参道。

二月堂から裏参道を通り、大仏殿の裏を廻って戻ることとする。

左は、二月堂舞台の回廊欄干、右の黒く見えるところは二月堂への登り廊。その間に大仏殿の大屋根が見える。
東大寺”修ニ会・お水取り”のクライマックスは、登り廊を駈け上がってきた大きな松明が、二月堂舞台の回廊欄干で振り廻される時、”お松明”である。その火の粉を浴びれば無病息災。その大舞台である。

私は、登り廊の石段を下る。

この登り廊の石段、何度下っても好きである。

登り廊を下ったすぐ前は湯屋。

そのすぐ左に小さな建物がある。重文の閼伽井屋(あかいや)。
お水取りの夜、閼伽井屋の中の若狭井と呼ばれる井戸から汲み上げた香水を本尊へ供える、とされている。

10数歩右の方へ歩き、二月堂を振り返る。
左下に閼伽井屋の屋根、そこから斜めに見えるのは登り廊、その先に二月堂。下から見ると、二月堂舞台の回廊がよく分かる。なお、その間の木は、東大寺の開山・良弁の名を付けられた良弁杉。

登り廊を下ったところのすぐ右手には、”左大佛殿道”と彫られた石柱が立っている。大仏殿の裏側へ通じている道であるが、通常は、”二月堂裏参道”として知られる道。

このような土塀が続く。

奈良の土塀、得も言えない。

細い道の両側には、いわくありげな建物が続く。
ここには、”乙万人組講信者詰所”という看板が掲げられている。講の詰所であろうが、”乙万人組”というのが何やらミステリアス。

東大寺塔頭のひとつ中性院。
”中性院”という名称もそうだが、その書体もユニークだな、と思ったら、榊獏山の手になる書だそうだ。

イーゼルを立てて絵を描いている人がいた。

「写真を撮らせてもらってもいいですか?」、と訊くと、「かまいません。どうぞ」、との応え。
15号ほどのキャンバスに油絵の具で描いている。

二月堂裏参道から見た二月堂を。

土塀が続く。
その内側に現われる建物も、どこか趣きがある。

その内、大仏殿の大屋根が見えてくる。
二月堂裏参道、さしたる距離ではない。1キロなんてない。おそらく何百メートルであろう。でも、趣き深い道。

大仏殿の裏を通って少し歩くと、正倉院への道が現われる。正倉院まで10分たらず。しかし、行かなかった。

大仏殿の西側の回廊。
ここを戻る。

この道を10分足らず歩けば戒壇院。でも、私は行かなかった。
今の私、必要最小限しか歩かない。

朝、バスを降りた東大寺前へ戻ってくる。
食堂へ入り、昼飯にうどんを食った。