博物館に初もうで(4) 松林図セミナー。

等伯の≪松林図屏風≫は、東博が誇る宝である。いや、東博というより日本が誇る宝のひとつ。国宝中の国宝である。

「博物館に松もうで」なんて言っているが、私が詣でた6日、長谷川等伯の≪松林図屏風≫についてのセミナー、トークイベントがあった。教育スペースである本館地下みどりのライオンで。

講師は、特別展室研究員・金井裕子。
いわゆる学芸員、東博では研究員と呼ぶそうだ。

能登国七尾の出身である長谷川等伯、安土桃山時代から江戸初期、我が世の春を謳歌する狩野派の総帥・狩野永徳と張りあった。
等伯、熱心なる日蓮宗信徒。多くの仏画も描いている。上は、30歳代の≪日堯上人像≫。
大和絵を学び、その後、牧谿、玉澗など南宋画の影響を強く受けた。

松林をモチーフとする絵は多い。
重文 ≪三保松原図屏風≫。
伝能阿弥筆、兵庫・頴川美術館蔵。

重文 ≪遠浦帰帆図≫。
伝牧谿、京都国立博物館蔵。
東博の中近世日本絵画の専門家・金井裕子、こう語る。
「等伯は、牧谿や玉澗などの南宋絵画から、何かこう空気のようなものを学んだ」、と。

で、六曲一双の紙本墨画、国宝≪松林図屏風≫。天地156.8センチ、左右356センチ。

金井裕子研究員、こういう4つのキーワードを揚げる。

使われている筆もさまざまである。藁筆、竹筆、刷毛。墨の濃淡も、湿潤な筆と擦筆と。
左隻3扇の松、藁の筆を用いたのであろうか荒々しく描かれる。

左隻3、4扇、空気感を示していたのか。

セミナー会場へ入った時、A3の資料を渡された。40数冊に及ぶ参考文献などが記されている。しかし、コピーなのかどうか、とても不鮮明。
これは松林図屏風の紙継ぎを示した図。右隻である。
第1扇は5枚継ぎだが、第2扇は10枚の紙が継がれている。
なお、図中の何本もの横への線は、刷毛目と読める。しかし、斜めの線は、読むことができない。思うに、空気感を表わす空間なのではないか。

左隻の紙継ぎ。
1〜3扇と4〜6扇が、ずれていることも示している。

レクチャー、≪松林図屏風≫は、本館2階国宝室で公開中、というところで終わる。

国宝室へ。
落した照明の向こうに等伯の松林図、多くの人がいる。

右側の女性は、グラスで覗いている。

右隻の1扇。

左隻の1扇。

日本人、この作品が好きなんだ。

セミナーで提起された最後のキーワードは、これ。

障壁画の画稿であるという意見、草稿なんだという人。元は屏風ではなかった、左右が逆だったんだ、という人。
終わることない考究が続いている、と東博の研究員・金井裕子は語った。
お勉強、面白かった。


今日、ラグビー大学選手権の決勝が行なわれた。
帝京対筑波。
帝京、前人未到の6連覇を狙っている。

後半18分45秒、帝京31対筑波7。
それよりも、ここまでの帝京のターンオーバー、14。解説の薫田真広、こう語る。「これほどターンオーバーがあるゲームは珍しい」、と。
帝京のターンオーバー、最終的には15を超えていた。

ノーサイド直前、帝京43対筑波7。

この後、帝京、さらに1トライ1ゴールを挙げ、なんとこのスコア。
なお、真ん中に写っているこの小柄な男は、帝京の主将・流大。素晴らしい選手である。
今日のゲーム、最初のトライは前半7分、筑波ゴール前での筑波ボールでのスクラム、という局面で生まれた。筑波ボールのスクラムであったが、出たボールを素早く拾いゴールへ飛びこんだのは、帝京のスクラムハーフ、主将の流だった。
惚れ惚れとする俊敏さに唸る。

帝京、6連覇を成す。
この様子だと、帝京、10連覇ぐらいまで成しそうな感じがしてくる。