ソチ・パラリンピック。

ソチでのパラリンピック、7日から16日(日本時間だと17日未明)にかけて行なわれた。
16日、クリミアでの住民投票、17日、クリミア自治政府ロシア編入を決議。ロシア、クリミアを独立国として承認。18日、ロシア大統領・ウラジーミル・プーチン、クリミアのロシアへの編入(実質的には併合)を宣言。
ソチパラリンピックの日程、あと半月ずれていたらどうなっていたろうか。ソ連のアフガニスタン侵攻後のモスクワ五輪と同じく、欧米諸国はじめ多くの国はソチでのパラリンピックをボイコットしたであろう。日本も当然ボイコット。

ウクライナの選手団。
ソチパラリンピックが始まった7日には、クリミア半島は既にロシアの手の中にあった。プーチンは認めていなかったが、クリミア半島全域、ロシア軍が掌握していた。
ウクライナ、悩んだ末にパラリンピックへの参加を決めた。

こう語るこの人は、国際パラリンピック委員会のシャビ・ゴンザレスCEO。
オリンピックのようなライブはない。しかし、編集された映像は何度か観た。一番引きつけられたのはチェアスキーである。日本選手が得意としていることもあり、面白い。

チェアスキー、アルペン男子滑降(座位)の狩野亮。
いやー、速い。凄い。カッコいい。

この種目、1位。優勝した。

鈴木猛史の滑り。

アルペン男子滑降(座位)、金メダルは狩野亮が取り、鈴木猛史が銅メダルを取った。
鈴木は、回転(座位)では、金メダルを取る。

狩野は、より凄い。
スーパー大回転(座位)でも金メダルを取る。2種目を制覇した。
時速115.9kmと出ている。チェアスキーでこのスピードで滑る。凄いよ。
なお、スーパー大回転(座位)では、日本選手団の主将である森井大輝も銀メダルを取った。森井、日本選手団の精神的主柱だそうだ。
スピードと言えば、日本選手は出ていなかったようだが、視覚障害者のスキーアルペンが面白かった。視覚障害者、もの凄いスピードで滑り降りる。
ガイドが先導する。ガイドが叫んでいる。旗門の位置はこうだ、ターンはこうしろ、というようなことを選手に伝えているのであろう。視覚障害者である選手、あたかも目が見えているかのように滑り降りる。凄いとしか言いようがない。

日本選手、バイアスロンでも活躍した。
男子7.5km(座位)の久保恒造。チェアスキーで滑る。

そして、射撃。
久保、銅メダルを取った。

バイアスロン女子6km(立位)の大田渉子。
大田、開会式では日本選手団の旗手を務めた。

片腕だけでの射撃、とても難しいものであろう。

しかし、太田、一発もはずしていない。大田、6位に入賞した。
それよりも、この最終成績である。
4位のフィンランドの選手と6位の大田を除けば、残るのはロシアの選手とウクライナの選手だけである。
大ロシアを目指すプーチンのロシアに、餌食にされつつある弱小ウクライナが意地を見せている。

政治を離れパラリンピックに戻ると、濃霧の中、クロスカントリー男女混合リレーが始まっている。
様々な障害を持つ選手が参加している。
立位の選手もいれば座位の選手もいる。障害の程度によっての計算式があるようだ。
それにしても、ボーと霞んで美しい。

日本は7位であった。

最終日、日本時間午後3時の映像。
この後の競技でロシアのメダルは、金30、銀28、銅22、合計80となった。
日本は、メダル総数6のまま。
それにしてもアメリカはどうなんだ、との声もあろう。アメリカは金メダルを2個しか取っていない。だから、この表には出ていない。でも、アメリカ、ソチでも金銀銅メダル合計18個を取っている。
それはそれとして、問題はウクライナである。
ウクライナ、パラリンピックでは意地を結集させた。最終的に金5、銀9、銅11、合計25個のメダルを取った。
翻ってウクライナ。
今日、プーチンは赤の広場で1万人のロシア国民を前にこう語っている。「長い航海の末、クリミアはロシアという母港へ帰ってきた」、と。
18世紀、19世紀、いや20世紀初頭までの帝国主義的手法、これからの時代に通用するわけがない。
いずれ、プーチンの論理は破綻するに違いない。