ベトナム、戦争と平和。

東京都美術館へ、日本表現派の同人・山本宣史の作品を観に行く。

今週末までの日本表現派展、第57回。歴史がある。

今回展への山本宣史の出品作、≪下竜(ハロン)湾≫。
F150号。大きな作品である。
ンッ、水墨画かな、それとも、水墨に山本独自の膠彩画を加えたものかな、と思った。山本に聞くと、赤い色も少し使っているが水墨画でいい、とのこと。

昨日、山本から来たメールには、
<ハロン湾は、昔中国がベトナムに侵攻してきた時、竜の親子が敵を破り、中から吐き出した宝石が湾内の三千もの島々になった、との謂れがあるそうです。竜を雲に表現してみました>、とある。
それでタイトルに、「下竜」とついているんだ、なるほど。

ハロン湾、奇岩の島々。ユネスコの世界遺産である。「海の桂林」とも呼ばれているそうだ。たしかに、漓江下りの桂林とその趣き、似ている。美しい。
山本、この4月に行ったそうだ。それにしても、穏やかな風景である。平和な風景、と言っていい。
ところで、ベトナム北部のハロン湾、トンキン湾の一部である。
そのトンキン湾、半世紀近く前の1964年、アメリカのベトナム戦争への介入の端緒となったトンキン湾事件の場である。ドロ沼の戦争となった、その端緒の場。

ベトナム戦争が終わり、40年近くとなる。
山本宣史の水墨画に近づいてみると、ハロン湾には多くの遊覧船が浮かんでいる。平和な光景である。
先般、アメリカとのドロ沼の戦いを勝利に導いたボー・グエン・ザップが死んだ。山本宣史の水墨画を観て、ベトナムの戦争と平和を思った。
時代は流れた。


明日から暫らく留守にします。
で、ブログも暫らく休みます。