68回目の原爆忌。

広島上空で原爆が炸裂してから68年が経つ。
今日、原爆忌。

朝8時からのNHK。
原爆ドーム。流れるのは元安川。

広島平和記念式典。
奉納された原爆死没者名簿は、総計28万6千余人になる、という。
8時15分、テレビ画面に向かい黙祷す。

広島、そして長崎についての、2人のアメリカ人監督によるドキュメンタリーが、今、岩波ホールで上映されている。内1本は、今日の「天声人語」でも触れているが。

ひとつは、リンダ・ホークランド監督の『ひろしま 石内都・遺されたものたち』。あとひとつは、スティーヴン・オカザキ監督の『ヒロシマナガサキ WHITE LIGHT/BLACK RAIN』。
岩波には珍らしく、”緊急上映”なんて文字が煽っている。文字の間には、ナカグロまで入れて。
それはそれとし、考えるべきことを考えている人はいる。
まず、リンダ・ホーグランドの『ひろしま 石内都・遺されたものたち』から。

写真家・石内都、2007年から毎年広島へ通い写真を撮っていた、という。広島平和記念資料館へ。監督のリンダ・ホークランド、その石内都を1年間追っている。
石内都、1945年8月6日被爆し、その後平和記念資料館へ寄贈されたものを撮る。ワンピースや、ブラウスや、背広や、人形や、櫛や、メガネや、といったもの。きれいだから撮る、と石内は言う。

このドキュメンタリー、2011年10月から2012年2月にかけ、カナダ・バンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学人類学博物館で開催されたそうだ。
その人類学博物館、大きなトーテムポールがいっぱい立っている。
石内都、こう言っている。
「トーテムポールも原爆ドームも、崩れてもいいものなのに、健気に立っている」、と。


バンクーバーで石内都の”ひろしま”の写真展を観た人の中には、このような人もいる。
この人のおじいさんは、マンハッタン計画に参加していたそうだ。しかし、マンハッタン計画の何たるかを知り、職を辞したそうである。さらにクエーカーの伝道師となり、戦後、広島で布教活動を行っていた、という。私の記憶力、徐々に減じてきているので、不確かな面もあるが、そのように話していたような気がする。
なお、監督のリンダ・ホーランドは、宣教師の娘で日本生まれ。中学まで日本の公立の学校へ通っていたそうだ。日本語は完璧。日本映画の字幕翻訳家でもあるそうだ。
それより、小学校4年の時、先生が原爆のことを話した時のことが凄い。クラスでたった一人のアメリカ人である自分、その責任は自分が背負っていかなければならない、と思ったという。何と。

今日の夜、元安川の川面に燈籠流しの燈籠が流れる。
後ろには原爆ドーム。
今日、今頃まだ、今上天皇は祈りを捧げておられるかもしれない。