パリ、生と死への変身。

昨日の夜、突然パソコンが機能しなくなった。
メーカーのサポート時間も過ぎている。今日を待った。今日、電話すると、何とか治った。
バカでかい白いストレッチ・リムジンがパリの街中を走る。後部座席には、怪優・ドニ・ラヴァン扮するオスカーが。運転手は、エディット・スコヴ扮する美しい老女。「今日のアポは?」とのオスカーの問いに、何々と答える。

”人生は終わりなき舞台”なんてものが書いてある。
しかし、はっきり言ってよく分からない。そういう映画である。正直言って、よく分からない。でも、これが分からずして映画を観ることができるのか、ということを試される映画なんだ。
私は、読んだことも、観たことも、聴いたこともないが、作家であり、絵描きであり、ミュージシャンでもある中原昌也は、若い人たちの間では、カリスマの一人であるらしい。その中原昌也、「芸術新潮」で毎号、映画評を記している。その中原昌也、暫らく前、『ホーリー・モーターズ』について、確かこう記していた。
”何だかよく分からない”、という言葉を何度も繰り返した後、こう記していた。”評点は高い”、と。

レオス・カラックス、ゴダールの再来と言われた男。
学校なんかは17で止めたアンファン・テリブル。日本で言えば、”大学へ行くなんて時間の無駄”、と高校を出た後は、個の世界でのみ気ままに生きている金井美恵子である。

この映画、千葉県でなんて、もちろんやっていない。東京でも、小さな映画館2館のみ。私は、先般できた新宿のシネマカリテで観た。座席数、100席に足らない映画館。
上の方には、”人生を巡る旅路、白くて長い棺桶から放たれるメタモルフォーゼ!”、という言葉。
確かにそう。次々に変身するんだ。
銀行家、物乞いの女、殺人者、怪人、死にゆく老人、その他。死ぬ人も何人もいる。そうじゃない人もいる。オスカーに入っているアポは、この日、9件もある。

こういう件も。

ペール・ラシェーズ墓地で、オスカーが墓に供えられた花を食うことも。

パリの街中、ストレッチ・リムジンは走る。
オスカー、ストレッチ・リムジンの中で幕の内弁当を食っている場面もある。日本への思い入れのあるらしいレオス・カラックス、そのような場面を組み込む。
そうではあるが、これは