マラソンはアフリカに限るな、やはり(続き)。

ケニア勢2人とウガンダ1人、アフリカ勢3人の闘いは続く。

31.4キロ。キプサングとキルイのケニア勢とウガンダのキプロティクの並走状態変わらず。

31.6キロ地点の3人の脚。美しい。
細くてしなやか、必要な筋肉だけで成り立っている。
なお、この200メートルの間に、左にいたケニアのキルイが右側に位置どりを変えた。

33.1キロ。3人の並走は続く。

35キロ地点であった。レースは、動いた。
ウガンダのキプロティクが遅れ始める。

ケニア勢2人、ウガンダを置き去り、引き離す。
ところが・・・・・

アッという間に、レースは、また、動く。
何と、37キロ近くで、ウガンダのキプロティク、先行するケニア勢2人に追いつき、追い越す。
この37キロ付近でのスパート、勝った後のキプロティク、こう語っている。「落ち着かせ、国のため、メダルのためにスパートした」、と。

38.5キロ。残すところ、あと3キロ少し。
ウガンダのキプロティク、ケニアの2人を引き離す。

40キロ地点のウガンダ、キプロティクの顔。
金属を叩き出して創り出したような美しさを感じる。

40キロの順位。
1位はウガンダのキプロティク。タイムは、2時間1分12秒。2位のケニアのキルイは19秒遅れ。3位の同じケニアのキプサングは51秒遅れ。
なお、手前は大きな観覧車、ロンドン・アイ。テムズを挟んだ向こう側をランナーは走っている。

ウガンダのキプロティク、ゴール。

ウガンダ国旗を背負うキプロティクの26秒後、ケニアのキルイがゴールする。その向こう、先の方を見ると、一人のランナーが小さく見える。この豆粒ほどにしか見えないランナー、途中独走態勢に入っていたケニアのキプサングである。キプサング、1分36秒遅れの3位となる。
それにしても、サハラ以南、サブサハラ、ブラックアフリカの、ウガンダとケニアの選手3人によるマラソンの試合、一場の芝居とも見えた。とても面白かった。美しいものも見せてもらった。

いつもNHKの画面に出てくるこれ、載せようかどうか迷った。しかし、載せることにした。
中本健太郎が6位に入った。入賞である。健闘であろう、日本のメディア、おしなべてそう言っている。
中間点では20位であったが、25キロで9位、30キロで7位、その後5位闘いをして、6位でゴール。中本健太郎、常に10位以内に入るレースをしている、という。先行する選手が落ちてくるのを次々抜き去る、という作戦だそうだ。ロンドン五輪でのレースもそうであった。
まあ、それはそれでいいであろう。私の好みではないが。
そうではあるが、6位入賞は、立派なもの。私もそう思う。しかしだ。朝日の文言は気に入らない。”6位中本 底力”、これはまだいい。記事の中のこういうコメントだ、気に入らないのは。”高速化が進むマラソン界で、日本はまだ戦えるということを29歳は示した”、という文言。
中本健太郎の戦術、入賞はできるかもしれないが、優勝はできない戦術である。
今のマラソン、ともかく先行しなければ勝てない。少なくとも、先行グループに入っていなければ話にならない。勝負にならないんだ。じっくり追い上げ、先行する選手を捉える、という時代ではない。
だから、マラソンに関わっている人たち、また、多くのメディアが、中本健太郎の戦略、戦術を是としていることに違和感を覚える。
少なくとも、美しくはない。