名古屋場所千秋楽。

ほとんど外へ出ないものだから、ほぼ連日相撲を観ていた。
名古屋は人が入っていなかったようだが、テレビの前では面白かった。半年ぶりの中継、私と同じ思いの人、多かったのじゃないか。殊に、今日の土俵は充実していた。私が、そうあれかし、と思っていた何番かの取組み、すべて、そうなった。
鶴竜が阿覧を破った。勝ち星、二桁に乗せた。二場所連続の二桁。
今場所の阿覧、星はあげているが、碌な相撲を取っていない。飛んだり、はたいたり。素質がある力士ではあるが、これじゃ上位に定着はできないという相撲。きっと親方に問題がある。だから、鶴竜、そんな阿覧に負けることなど許されない。勝ってよかった。
白鵬を破りながら、平幕に連敗していた琴奨菊が、これも今場所元気な豊真将を下したのにも、ホッとした。
4敗、大関取りの夢は成らなかったが、今日の星で、来場所に繋がった。
稀勢の里も、やってくれた。昨日、白鵬を破り優勝を決めた日馬富士を破った。日馬富士の全勝優勝を阻んだ。
熱戦であった。私も、力が入った。この一番、稀勢の里にとっても、日馬富士にとっても、大きな一番だった。特に、稀勢の里にとって。勝負を制した稀勢、星を二桁に乗せた。大関取りの足がかりをつかんだ。
来場所は、面白くなる。
日馬富士の、綱取り場所となる。琴奨菊と鶴竜の、大関取りの場所ともなる。稀勢の里も、二人に置いていかれるわけにはいかない。激しい場所となるだろう。面白い場所となる。
通算勝ち星の記録を作った魁皇が、引退したこともよかった。もう十分だ。魁皇、悔いも、思い残すこともない、と話している。そうであろう。魁皇、死ぬまで愛されるに違いない。
最年長の魁皇はともかく、年嵩のベテラン力士の不調が目立った場所でもあった。
安美錦、旭天鵬、共に2勝13敗。幕尻に近い高見盛、3勝12敗。十両下位の垣添、1勝14敗。来場所、高見盛は十両へ、垣添は幕下へ落ちる。寂しい思いがある。
白鵬が、3敗を喫したことにも驚いた。
若手実力者の台頭、ベテランの退潮。絶対だと思われていた白鵬まで。アンシャンレジームの崩壊、既成秩序が崩れたか、と考えた。
今場所の結果、そうでもあり、そうでもない。
8連覇が成らなかった絶対の王者・白鵬、まだ26歳。日馬富士、琴奨菊、稀勢の里、鶴竜、それに今場所は負けこしたが豪栄道も含め、彼らみな同世代。25歳から27歳の間にひしめいている。力士として、あと4〜5年は、最も力の出る時期だ。
来場所以降、面白くなる。