大正12年(1923)9月1日の関東大震災の後、朴烈と金子文子は逮捕され大逆罪で死刑判決(後、天皇の思し召しとして無期に減刑。が、金子文子はそれを拒否、自死する)を受けるが、関東大震災の直後、大杉栄と伊藤野枝は甘粕正彦ら憲兵隊の手で虐殺さ…
7年前、2013年の「流山子雑録」で、紀伊熊野の新宮で大逆事件に連座し処刑された大石誠之助たちの顕彰碑を訪れた模様を記した。 明治43年(1910)の幸徳秋水を初めとする大逆事件に、熊野でも大石誠之助たち6人が死刑や無期懲役に処せられた。今…
いつの時代も若い男と女は変わらないものだ。 <2つの恋に揺れる、痛くて愛おしい”わたしたち”のラブストーリー>って、2つであろうと幾つであろうと、若い頃であるから痛くて愛おしい。若さの特権だ。 若さを超えての2つや幾つかとなると、血の雨が降る…
前回の大阪万博の前年、昭和44年(1969)、伊丹空港近くのコリアタウン。在日コリアン一家の物語。 伊丹であるから正確に言えば兵庫県なのであるが、まあ大阪の周縁都市。万博の前年で、大阪の町は沸き返っていた頃だが、伊丹空港近くのコリアタウンは…
「芸術は爆発だったりすることもあるのだが、僕の場合はお母さんが爆発した」。 末井昭が高校生の時、お母さんが隣の家の息子とダイナマイト心中をした、という。 1970年代から80年代の頃、末井昭はそこそこ名を知られた人であった。エロ雑誌の編集者…
舞台はやはり幕末の京。あの時代の京都は、やはり気にかかる、映像作家の心を揺らす。 幕末の京、尊王攘夷の薩長の勤皇の志士がいる。それを取り締まる京都見廻組や新選組がいる。京都見廻組と新選組の出し抜きあい、鍔迫り合いもある。斬り切られのカオス。…
「一本の刀を過剰に見つめ、なぜ斬らねばならないかに悩む若者を撮りたいと思っていた」、と塚本晋也は語っている。今の世の中、何かキナ臭い匂いがする、と言う。2018年の作品だが、2年後の現在も変わらないだろう。 塚本晋也は前作、大岡昇平原作の『…
木村大作、「オレの撮りたいように、オレのアングルで、オレのカメラワークで美しい時代劇を創りたい」、と思っていたことだろう。 黒澤明から絶大な信頼を得ていたカメラマンである。多くの監督と組んできた。オレならば、ということで創った作品である。オ…
幕末の京都、殺し殺されの修羅場が続いていた。 朝廷も幕府も、尊王攘夷だ、いや公武合体だとその時々の情勢次第で身をひるがえす。いつの時代も、上つ方はこのようなもの。殺し殺されは末端の人たちがやっていた。 慶応3年(1867)11月15日、京都…
最後に日本映画に触れたのは今年の初め、『男はつらいよ50 お帰り寅さん』であった。 その前は樹木希林が死んだ後、一昨年暮れのキネ旬で「樹木希林恐るべし」と銘打った樹木希林出演作を連続上映した時であった。『日日是好日』や『わが母の記』など6作…
しっかりしているのは、ママだけ。あとは問題のある人間ばかり。でもハートフル、家族の愛の物語である。 『リトル・ミス・サンシャイン』、2006年の作。とても面白い、名作との評があり、見たいと思っていた。つい先日、かかった。 『リトル・ミス・サ…
同じ男と女が、17年もの間中国大陸のあっちからこっちへと、離れたりくっついたりしているなんて、「お前たちなにやってんだ」ってことになるだろう、パリの男と女には。 切なく流離う恋もそれはそれで得も言えずであるが、パリの男と女の恋は軽やかだ。 …
中国は、良くも悪くも(後者の方が圧倒的に多いが)大きく動いている。 2001年、山西省の大同、チャオとヤクザ者の恋人・ビンの物語。恋物語ではあるが、激動の現代中国の中でヤクザなはぐれ者の哀しい男と女の物語。 大同、奉節、ウルムチ、そして大同…
愛の物語である。男と女の愛の物語。これが一筋縄ではいかないんだ、インドでは。 社会格差、身分の問題、カーストの問題があるんだ、今でも。 もちろんインドでは憲法によってカースト制は廃止されている。しかし、現実には今も生きている。 インドの大都市…
20世紀初頭のイギリス・ケンブリッジ。上流階級の子弟が学ぶケンブリッジ大学でモーリスとクライヴは出会い、惹かれあう。 共に美青年。性の多様化が謳われる現代とは違い、同性愛などもっての外という時代である。 『モーリス』、原作はE.M.フォースタ…
77歳となる老人・ダヤ、ある日、いよいよ自分も最期を迎えるな、と思う。聖地・バラナシで幸せな最期を迎えたい、と。バラナシの「解脱の家」へ行き、死を待ちたい、と考える。ビジネスマンの息子・ラジーヴが付き添って行く。 ガンガー(日本では今でも「…
2日前の昼間のNHK、久しぶりでウディ・アレンの『ミッドナイト・イン・パリ』を見た。これはすこぶるつきで面白い。日本公開は2012年、8年前となる。 その頃この雑ブログでは、4月末から9月末にかけ、途中に幕間休憩を入れたが、79回にわたり「…
暫らく前、新型コロナと暑さでほとんど家の中にいるが、PCR検査がどうこうとか病院のベッドの使用率がどうこうとか、とコメンテーターと称する連中がワイワイ言っているテレビのニュースショーというものは、バカ臭くて見ないことにしている、と記したこ…
第二次世界大戦でドイツ降伏後、日本は戦争を続ける。 太平洋地域での米軍兵士の死傷者は15万人を超える。 沖縄戦が終わった後、1945年7月、アメリカは日本本土上陸作戦を策定する。 「果てなき殲滅戦」である。 日本敗戦日、8月15日のNHKBS…
毎日が日曜日のようなものであるが、世間に倣い4、5日勝手に夏休みのふりをしていた。 夏休みのふりをするっていっても、何をするワケではない。常の日と同じ。 朝遅く昼近く、起きる。窓の外は相変わらず暑そうだな、と思いながら座椅子に座り朝刊を読む…
水俣、ミナマタと聞けば、頭に浮かぶ人が3人いる。 ひとりはもちろん石牟礼道子、ひとりは美智子皇后、今の上皇后、そしてあとひとりはユージン・スミスである。 ユージン・スミスの原点は戦争。 1918年生まれのユージン・スミス、20代半ば第二次世界…
<・・・、21歳の山田風太郎は、「ツイニ敵ニ屈ス」と、はっきり受取めている。・・・。そしてこれ以外、いえない。丁度、期待の重さに耐えかね自殺した、東京五輪のマラソンランナー円谷幸吉の遺書「おいしゅうございました」「ありがとうございました」…
今年の8月15日。 11時50分、テレビの前へ。 新型コロナの影響で、今年の出席者は550人。 天皇、皇后を待つ。 両陛下、お入りになる。 安倍晋三、挨拶。 例年通り、アジア諸国への加害責任には触れず。 両陛下。 両陛下。 天皇、「過去を顧み、深い…
国が、あちこちへ行ってください、お金を差しあげますので、但し自己責任で、と言っているので、コロナになる人が増えても仕方がないが、このところ窓の外はとても暑そう。水分補給が大切だそうだ。 で、この5日間、部屋の中でじっとしている。ビールを飲み…
前日の8月8日、ソ連外相モロトフから駐ソ大使佐藤尚武に対し、対日宣戦布告書が手渡された。9日、ソ連軍はただちに満洲への進攻を開始する。日ソ中立条約があるとか、そのソ連に米英との仲介を頼んでいた日本、甘いとは言えるが、それは後になって言える…
宮内庁書陵部が編纂した『昭和天皇実録』、平成2年(1990年)4月から16年間の計画で始められたが、完成予定は8年延び、平成26年(2014年)完成を見た。 出版は東京書籍が請負い、順次第十八巻までの膨大な実録が世に出た。 何年か前にも記し…
75年前、昭和20年の今日8月7日、昭和天皇は次々に重臣をお召になっている。 <御文庫において枢密院議長平沼熄騏一郎に謁を賜う>。 <御文庫に内大臣木戸幸一をお召になり、時局収拾につき種々御下問になる>。 <御文庫において陸軍大臣阿南惟幾に謁…
一年の内、この日だけは早く起き、8時にNHKをつける。 今年の広島平和記念式典。 被爆75年となる。 75年前の8月6日午前8時15分、その日深更テニアン島を発進したエノラ・ゲイ、広島上空で原爆を投下する。 テレビの前で黙祷。 広島市長・松井一…
これもウディ・アレンのニューヨークのお話。 が、昨日のブルックリン、コニーアイランドの観覧車が見えるアパートでの中年女のどこか物悲しい物語とは異なり、マンハッタンのセレブな世界のお話である。コニーアイランドの西日が射すアパートと異なり、豪勢…
1950年代のニューヨーク、ブルックリンのコニーアイランドの物語である。ブルックリン、マンハッタンからイースト川を渡った東。 ニューヨークには何度か行ったが、ブルックリンに行ったことはない。ハドソン川を渡った西はニュージャージーで、マンハッ…