秋場所初日。

今日、大相撲秋場所初日。
先場所と同じように観客1/4で催された。
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恒例、初日の八角の挨拶。
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従える役力士、7力士のみ。
どこか寂しい。
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一時身体の弱っていた北の富士さん、元気を取り戻した模様。
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両横綱不在の場所、出場者最高位は東大関・朝乃山。
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西大関・貴景勝。
この二人が場所を引っぱっていくのだろう。
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豊昇龍、ついに入幕した。
朝青龍の甥っ子。体重がまだこれからだが、朝青龍によく似ている。瞬発力や反射神経がいい。声も何となし似ている。
三段目、幕下の頃、大鵬の孫・納谷とよく引き合いに出されていたが、納谷を置き去った。
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初日の相手は逸ノ城。
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立ち合い、鋭く当たる。大きな逸ノ城を寄り切った。
楽しみな若手である。
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先場所、幕尻優勝の照ノ富士、今場所注目のひとり。
本人も狙っている。
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今場所もこれが出てきた。
東京都と日本相撲協会のコラボ。
[:plai
番付上位陣。
両横綱は休場。両大関と照ノ富士に注目する。が、3人の関脇も元気だし、皆団子状態と言えばそうも言える。
休場の両横綱を除けば、間もなく30となる遠藤が一番年嵩だ。遠藤、若くはなくなってきた。ここらで後輩たちに一泡吹かせてやれ。
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昇り調子の大栄翔、初日の割は対玉鷲。
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35歳となった玉鷲、未だ力は衰えず。大栄翔を突き落とす。
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御嶽海、今日の相手は北勝富士。
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御嶽海、鋭い出足で北勝富士を圧倒、押し出す。
続く正代も隆の勝を圧倒する。
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今日注目の一番。
私は秘かに照ノ富士に思いを寄せていた。
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が、貴景勝、素晴らしい立ち合い、鋭い出足で照ノ富士を圧倒した。残念。
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結びの一番。
今場所の賜杯の行方、団子状態と言えばそうとも言えるが、最後はやはり朝乃山であろう、というのが大方の見るところ。私もそう思っている。内心では御嶽海や照ノ富士あたりに、そうなってもらいたいが。
さらに遠藤にも、ここらで二桁の星をあげ、大関を目指す気概を示せ、とも。
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遠藤、朝乃山に攻めこまれ土俵際まで追いつめられるが、最後、すくい投げで朝乃山を破る。
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背中に土俵の砂をびっしり付けた朝乃山、花道を下がる。
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秋場所初日の星取。
平幕に落ちている琴奨菊や栃ノ心の大関復帰は難しかろうが、高安はまだまだ大関に再チャレンジあり得るな。
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秋場所初日、終わる。


大坂なおみ、テニス全米オープンで2年ぶり、2度目の優勝を遂げた。
「アスリートである以前に、ひとりの黒人女性として」と語り、白人に殺された7人の名を記した黒いマスクをつけていた。7枚すべてのマスクをつけるには、決勝まで全試合を勝ち抜かなければならなかった。
大坂なおみ、それを成し遂げた。22歳の彼女の発する言葉は重い。


ベネチア国際映画祭で黒沢清の『スパイの妻』が銀獅子賞(監督賞)を受けた。
青い目のケイト・ブランシェットが、黒沢清の名を読みあげていた。
『スパイの妻』、蒼井優がそのスパイの妻に扮しているらしい。公開が待ち遠しい。

菊とギロチン。

大正12年(1923)9月1日の関東大震災の後、朴烈と金子文子は逮捕され大逆罪で死刑判決(後、天皇の思し召しとして無期に減刑。が、金子文子はそれを拒否、自死する)を受けるが、関東大震災の直後、大杉栄と伊藤野枝は甘粕正彦ら憲兵隊の手で虐殺される。
その大杉栄の仇を取る、と言っていたアナキストたちがいる。詩人でもある中浜哲(中濱鐵)や古田大次郎も。ギロチン社というアナキスト集団を作った。
明日から大相撲秋場所が始まるが、昔は女相撲の興行もあった。古くは江戸時代から。今はない。女子プロレスに変化した。
ギロチン社も女相撲も、コンサバティブな社会から見れば異端である。
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『菊とギロチン』、史実を基にしたフィクションである。
大正12年、関東大震災後の社会で蠢いていたアナキスト集団・ギロチン社の若者と女相撲に加わった女たち、この二つの集団が出会ったら、と。
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『菊とギロチン』、脚本:相澤虎之助・瀬々敬久、監督:瀬々敬久。
2018年の公開作であるが、瀬々敬久、30年来温めてきたプラン、という。
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大正Ⅰ3年、東京近郊の町に女相撲の一座がやってくる。
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女相撲の一座の相撲取り、ワケありの女が多い。
暴力を振るう亭主から逃げてきた新入りの花菊(木竜麻生)とか、元遊女の朝鮮出身の十勝川(韓英恵)とか、と。
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花菊、強くなりたいと願う。
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ギロチン社の面々と行きあう。
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国家権力に虐殺された大杉栄の仇をとろうとしているギロチン社の若者たち。
中浜哲(中濱鐵、東出昌大)は金持ちを脅して金を奪い、酒と女に費消する。古田大次郎(筧一郎)はナイーブな男。
彼ら、社会を変えたいと思っているのであるが。
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いつしか花菊と古田大次郎は惹かれあっていく。十勝川と中浜哲(中濱鐵)も。
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多くの実在の人物が登場する。
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3時間を超える長尺作品である。エンディング近く、海沿いで踊る彼らの姿が印象に残る。
その後官憲に捕まった古田大次郎は、大正Ⅰ4年10月15日、市ヶ谷刑務所で死刑を執行される。
中浜哲(中濱鐵)は、その翌年の大正Ⅰ5年4月15日、大阪刑務所で死刑が執行される。
この後、日本は天皇神聖視軍部独走の時代に入り、昭和20年の敗戦、こてんぱんにやられるまで続く。
瀬々敬久、右傾化が進む今だこそ警鐘を鳴らしたい、と語っている。
そう言えば、安倍政権支持の層、若い連中に多いそうだ。
長尺の青春群像劇、年寄りにも面白かった。

金子文子と朴烈。

7年前、2013年の「流山子雑録」で、紀伊熊野の新宮で大逆事件に連座し処刑された大石誠之助たちの顕彰碑を訪れた模様を記した。
明治43年(1910)の幸徳秋水を初めとする大逆事件に、熊野でも大石誠之助たち6人が死刑や無期懲役に処せられた。今ではフレームアップであると分かっているが。
大逆罪、天皇、三后、皇太子に対し危害を加えんとした者は死刑に処す、というもの。三后とは、大皇太后、皇太后、皇后のこと。
現在では大逆罪はない。日本が戦争に負けた後、なくなった。
それまで大逆事件は4つあった。
1910年の幸徳事件。明治天皇を狙ったという大逆事件。幸徳秋水たちが捕えられ処刑された。私が見た熊野の地でも大石誠之助たちが。
1923年の難波大助による虎ノ門事件。
1925年の朴烈事件。
1932年の桜田門事件。
本作は、そのひとつ関東大震災前の1923年の東京でのアナーキスト・朴烈と金子文子の物語を紡いでいる。
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『金子文子と朴烈』、監督:イ・ジュニク。韓国映画である。韓国では235万人が見たそうだ。
朝鮮人の朴烈(イ・ジェフン)と日本人の金子文子(チェ・ヒソ)。関東大震災の後、捕えられ、大逆罪とされていく。
韓国映画であるが、心広い作品である。反日の気配などない。むしろ、金子文子の生きざまが凄い。
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大逆事件で逮捕された朴烈と金子文子。
金子文子、こう語る。
「朴烈と一緒に死ねるなら満足しよう」、と。
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金子文子は、栃木女子刑務所で自死した模様。
いやー。強い女性であった。
朴烈は、日本敗戦後釈放され、幾つもの思想変遷を繰り返していたようだ。
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金子文子の心根が凄い。
命など、いつ捨ててもいい、という。

南瓜とマヨネーズ。

いつの時代も若い男と女は変わらないものだ。
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<2つの恋に揺れる、痛くて愛おしい”わたしたち”のラブストーリー>って、2つであろうと幾つであろうと、若い頃であるから痛くて愛おしい。若さの特権だ。
若さを超えての2つや幾つかとなると、血の雨が降る。
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『南瓜とマヨネーズ』、原作は、魚喃キリコの漫画だそう。漫画のことはからっきし知らない私、まったく知らなかった。
第一、この「魚喃」という苗字自体難しい。何と読むのかなと思ったら、「なななん」と読むらしい。著名な漫画家で、この『南瓜とマヨネーズ』もよく知られた作品であるそうだ。
脚本・監督は、一昨日の『素敵なダイナマイトスキャンダル』と同じ冨永昌敬。〚素敵なダイナマイト・・・〛の前作、2017年公開作である。
ところで一昨日、『素敵なダイナマイトスキャンダル』に関し幾つか書き漏らしてしまったことがある。
荒木経惟のこともそのひとつ。菊地成孔が荒木経惟に扮していた。アラーキー、モデルの女の子のあそこにカメラを近づけ、「芸術、げいじゅつ、」と叫ぶ。と、女の子は「これが芸術?」って言いながらも何となく納得する。アラーキーのことを忘れちゃいけない。
あとひとつ、エンディングでその菊地成孔の曲「山の音」を歌う尾野真千子と原作者の末井昭のデュエットが流れる。監督・冨永昌敬のシャレであろう。
一昨日、このようなことを書き忘れてしまった。理由はある。
おそらく、歯を見せ片手をあげて歩く菅義偉のニュース映像に嫌な感じを抱き、そのことが頭にあったからであろう。
直前まで、「考えもしません」なんて言いながら、安倍晋三が辞めると言った翌日には二階俊博と会い、出馬の意向を伝えていた変わり身の早さに嫌気がさしていた。
政治家の言葉を鵜呑みにするほどバカではないつもりだが、やはりその、であった。
とんだ横道に逸れてしまった。
『南瓜とマヨネーズ』に戻る。
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ツチダ(臼田あさ美)はせいちゃん(大賀)と同棲している。1990年代の話らしい。
せいちゃんはミュージシャンを目指しているが、禄に働きもせずツチダに頼っている。いわばダメ男であるが、こういう男に限って尽くす女がいるのも時代はどうあれ変わらない。
ツチダはより稼ぎがいいキャバクラへ、さらに愛人契約も。せいちゃんのために。
ある時、せいちゃんはツチダが身体を売って金を作っていることを知り、急に働き始める。少し離れて住もうとも言って。
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と、ツチダの前に元カレのハギオ(オダギリジョー)が現れる。
実はこの映画の出演者、主役の二人もその他の人も誰もその名を知らなかった。唯一見知った名はオダギリジョーのみ。明らかにずれているんだ。私と彼ら。
しかし、よく解かる。こういう過程を経て年を重ねるのがいい。


菅義偉で決まりの自民党総裁選、役員人事も進行中。党の要・幹事長には二階俊博の続投で決まりとなっている。
当然だな。二階が菅政権を作ったのだから。


立憲民主党と国民民主党との合流新党、今日、その代表が枝野幸男に決まった。
それはそれとして、今日のニュース映像には、岡田克也、海江田万里、野田ドジョー、小沢一郎などの顔が出てきた。これら昔の名前で出ていますといった連中が出てくる内は、自民党の受け皿となる政権を狙う党とはならないであろう。
枝野の対抗馬・泉健太なんて知らなかったもの。まあ、これからだ。

焼肉ドラゴン。

前回の大阪万博の前年、昭和44年(1969)、伊丹空港近くのコリアタウン。在日コリアン一家の物語。
伊丹であるから正確に言えば兵庫県なのであるが、まあ大阪の周縁都市。万博の前年で、大阪の町は沸き返っていた頃だが、伊丹空港近くのコリアタウンはやや取り残された感じがある。
『焼肉ドラゴン』、元々は鄭義信の戯曲。2008年、日本の新国立劇場と韓国の権威ある劇場で上演されたそうだ。その年の読売演劇大賞、朝日舞台芸術賞、鶴屋南北戯曲賞など名だたる賞を取っている。
確かに面白い。
日本兵として戦い片腕を失くした男と、1948年4月3日の済州島での四・三事件で済州島へ帰れなくなった女、共に再婚。男には先妻との間に二人の女の子、女には連れ子の女の子がいる。そして再婚後に生まれた男の子が一人。女の子と言っても3人の子供は既に成人であり、血が通わない姉妹だが仲がいい。
男と女は焼肉(ホルモン)屋をやっている。明日はきっと、と力一杯生きている。
時代は少し異なるが、東京タワーのできる頃の東京の下町を描いた『ALWAYS 三丁目の夕日』を思い出す。
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高度経済成長期だったんだな。
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『焼肉ドラゴン』、脚本・監督:鄭義信。自らの戯曲を映像作品とした。
鄭義信自身は、在日3世だそうだが、在日コリアンを描いた映画には心に残る作品が幾つもある。30年近く前になる崔洋一の『月はどっちに出ている』が、私が知る中では最も早いものでなかったか。
鄭義信、その『月はどっちに出ている』の脚本も担当している。手練れの書き手である。
なお、男の先妻との間の長女、次女には、真木よう子と井上真央。女の連れ子の3女には桜庭ななみ。
男(お父ちゃん)にはキム・サンホ、女(お母ちゃん)にはイ・ジョンウンと韓国のベテランが。イ・ジョンウンは、アカデミー賞作品『パラサイト』にも出ていた。おばさん顔の売れっ子。
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役場から立ち退け、と言われている。このバラックから。男は、ここは戦後買ったものだと言っているのだが、役場の人間は、不法占拠だと言う。
男は、こう怒鳴る。「なら、腕を返せ」、と。
日本のために戦い、腕を失くし、戦後も懸命に生きてきた在日コリアンの叫び、胸を打つ。
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末っ子の男の子の話もあるのだが、それは端折る。
3人の姉妹はそれぞれの道を歩むこととなる。
左下の大泉洋、彼も在日コリアン。次女と結婚している。が、長女が忘れられない。昔、自分のせいで、長女の足に障害を負わせたことが心に引っかかっている。次女とは別れ、長女と北朝鮮へ渡る。この世の楽園・北朝鮮への帰還真っ盛りの頃であった。
離婚した次女は、在日コリアンの新しい男と韓国へ行く。
歌手志望でクラブで歌っていた3女は、そこの支配人と不倫の末結婚、スナックを開くという。
皆それぞれの道を歩んでいくようだ。北朝鮮へ行った長女たちが心配だが。
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お父ちゃんとお母ちゃんは、本気で生きていた。
3人の娘、北朝鮮、韓国、日本とバラバラになるのだが、それでも本気で生きてきた。ジンとくる。幸あれかしと祈る。

素敵なダイナマイトスキャンダル。

「芸術は爆発だったりすることもあるのだが、僕の場合はお母さんが爆発した」。
末井昭が高校生の時、お母さんが隣の家の息子とダイナマイト心中をした、という。
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1970年代から80年代の頃、末井昭はそこそこ名を知られた人であった。エロ雑誌の編集者として。
岡山の高校卒業後まず大阪へ出、その後東京へ出てきたそうだ。キネマ旬報の直営館に貼りだされていたので「キネ旬」の記事だと思うが、東京でデザインの専門学校へ入ったら、学園紛争で学校は封鎖されていたそうだ。
末井昭は1948年生まれだから、第2次の学園闘争の前段の頃の模様。末井昭は自分で働いて夜間部へ入っていたので、親の金で昼間部へ入っているくせに学園封鎖をしているヤツが許せなかった、と言っている。
いずれにしろ末井昭、デザイナーから金になるキャバレーの看板掻き、さらにエロ雑誌のイラストレイター、そして、エロ雑誌の編集長となっていく。
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『素敵なダイナマイトスキャンダル』、脚本・監督:冨永昌敬。末井昭の同名の著作を映画化した。
末井昭に扮するのは柄本佑、その女房となる女に前田敦子。
この二人、そんじょそこら何処にでもいるような顔つきであるが、今、注目の役者である。
隣の家の息子とダイナマイト心中をした末井昭の母親には、尾野真千子。和服を着崩した様、得も言えず。
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末井昭、これらの雑誌を創りだした。創刊者である。
私は末井昭より少し前の世代であるので、ああそうだと思うのは「写真時代」ぐらい。今では聞かれなくなったが「エロ」という言葉が存在していた時代であった。
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カミさん(前田敦子)と愛人(三浦透子)。


ニュースを見ると、石破茂が一番存在感があるのに、現実には菅義偉がぶっちぎりの模様。
菅義偉が片手をあげ、歯を見せて歩く映像に、ヤな思い弥増す。

多十郎殉愛記。

舞台はやはり幕末の京。あの時代の京都は、やはり気にかかる、映像作家の心を揺らす。
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幕末の京、尊王攘夷の薩長の勤皇の志士がいる。それを取り締まる京都見廻組や新選組がいる。京都見廻組と新選組の出し抜きあい、鍔迫り合いもある。斬り切られのカオス。
1934年生まれ、昨年公開時85歳の中島貞夫、平成最後のちゃんばら時代劇、と謳う。
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『多十郎殉愛記』、監督:中島貞夫。中島貞夫、20年ぶりのメガホン。
主演の二人は高良健吾と多部未華子。
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清川多十郎(高良健吾)、長州藩では名を知られた遣い手であったが脱藩、今は京の居酒屋の用心棒である。
腕を見こまれ長州の志士からは、「桂さん(小五郎・木戸孝允)の身辺警護をしてくれ」と頼まれるが断る。尊皇攘夷の大上段に構えた志などはない。
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小料理屋の女将のおとよ(多部未華子)は、多十郎に思いを寄せている。
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多十郎、脱藩浪人の取り締まりに動く見廻組に目をつけられた。
腹違いの弟・数馬が上洛してくる。尊皇攘夷の志を持って。が、数馬は見廻組との間の戦いに巻き込まれ、両眼を切られる。
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多十郎はおとよに数馬を託し、二人を逃がす。自らの身を囮にして。
この作品、時代劇の先達・伊藤大輔に捧げられている。中島貞夫の伊藤大輔へのオマージュ。伊藤大輔の『長恨』を頭に置いているそうだ。『長恨』、私は知らないが、時代劇、ちゃんばら、三角関係という要素である模様。両眼を切られた数馬とおとよの間にも。
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京都見廻組は悪だ、薩長の志士は善だ。脱藩浪人も善だ。幕末に時代を絞ったちゃんばら時代劇、単純に善悪を分けた斬り合いがストンとくる。
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<ラスト30分壮絶な死闘に泣け!>の惹句通り、多十郎、京都見廻組と戦いをくりひろげる。多勢に無勢、アンビリーバボーな戦いを。
見廻組、3~40人いる。いや4~50人ぐらいいるかもしれない。それを多十郎ひとりで、斬って斬って斬りまくる。現実にはあり得ない。が、それが本格的なちゃんばら時代劇。
85歳の中島貞夫、それを示した。